外国人就労の基本方針判明 大都市集中回避へ措置 - 東京新聞(2018年12月14日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201812/CK2018121402000138.html
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改正入管難民法などの成立を受けた外国人労働者受け入れ拡大の新制度の全容が、政府関係者への取材で分かった。制度の方向性を定める基本方針には、大都市圏に外国人が集中しないような措置を講じると明記。分野別運用方針では、国会答弁と同じく来年四月から五年間の累計で最大三十四万五千百五十人を受け入れ、農業と漁業は派遣の雇用形態も認めるとした。外国人への支援内容を盛り込む総合的対応策には各種行政サービスの多言語化推進を記載した。
政府は二十五日にも基本方針を閣議決定し、分野別運用方針なども年内に定める。一方、昨年までの十年間に技能実習生を含む外国人労働者百二十五人が労災で死亡したことが厚生労働省の集計で判明。外国人の労働環境の検証や改善が進まない中での新制度導入に批判が強まりそうだ。
基本方針によると、外国人が大都市圏などに過度に集中しないよう「必要な措置を講ずるよう努め」、失踪者が出ないよう関係機関が連携する。
人手不足で受け入れが必要なことを客観的かつ具体的に示すよう関係省庁に求め、分野別運用方針に書き込む受け入れ見込み数を、大きな経済情勢の変化がない限り、上限として運用する。
報酬額は日本人と同等以上を求め、新在留資格「特定技能1号」の外国人への支援内容として、出入国時の送迎や住宅確保、生活オリエンテーション実施、日本語習得支援、行政手続きの情報提供などを挙げた。
分野別運用方針には受け入れ対象の十四業種を記載。業種ごとの技能試験のほか、共通の日本語能力判定テスト(仮称)を新設するとした。現行の日本語能力試験で基本的な日本語を理解できる「N4」以上と認定されれば代替できる。
雇用形態はフルタイムで原則直接雇用だが、季節で仕事量が変わる農業と漁業は派遣も可能。業種ごとに主な業務内容も示し、介護は訪問系サービスを対象外とした。同一業種内や業務内容が似ていれば転職も認める。
総合的対応策では、行政や生活の相談に多言語で応じる一元的窓口の創設を支援すると規定。多言語化推進の項目としては医療、災害情報を国から自治体へ伝える全国瞬時警報システム(Jアラート)、一一〇番、運転免許試験などを示した。
新制度に関する省令の骨子案も判明。受け入れる外国人は十八歳以上とし、一時帰国を希望した際は休暇を与え、本人が帰国旅費を捻出できない場合は負担することを受け入れ先に義務付ける。