(大弦小弦)共働きやひとり親家庭の小学生が放課後を過ごす… - 沖縄タイムス(2018年12月13日)

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共働きやひとり親家庭の小学生が放課後を過ごす学童保育(放課後児童クラブ)は、単なる預かり場所ではない。子どもの育ち、特に遊びを通した成長を支える

▼けん玉やベーゴマの技を磨いたり、集団遊びの陣取り合戦「Sケン」やおにごっこに夢中になったり、秘密基地を造ったり、子ども時代にしかできない貴重な経験を積む。大人になると、けんかしたり仲直りしたりした体験の重さを実感する

▼昔は子どもだけで自然に集まれる遊び場があった。時代の流れで空間と時間を奪われ、今は遊ぶための仕掛けが必要な場面も多い。きっかけづくりの役割を学童の職員、児童支援員が担う

厚生労働省学童保育の職員配置基準を緩和する方針を打ち出した。1カ所に常時2人以上の配置を義務付けてきたが、早ければ来年度から1人でも可とする

▼1人勤務による過重労働が社会問題化した「ワンオペ」が子どもの福祉の現場に持ち込まれる。安全や安心の確保は大丈夫か。目が行き届かないとの理由で、あらかじめ遊ばせないような禁止事項が増えないかと心配になる

保育所整備も含め、子育て政策に規制緩和の波が押し寄せている。待機児童の受け皿づくりを急ぐあまり、当事者である子どもの視点が置き去りになっていないか。「子どもにとっての最善」をもっと重視する必要がある。(田嶋正雄)