<金口木舌>三億円事件となりすまし - 琉球新報(2018年12月10日)


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岩倉具視の名を聞き、笑福亭鶴瓶さんを思い浮かべる人は大河ドラマの「西郷どん」通か。500円札の顔が浮かんだ人は40代以上か。1982年に硬貨が発行され、94年に紙幣発行は終わった

東京都府中市で50年前のきょう、白バイの警察官になりすました男が「爆弾が仕掛けられた」と現金輸送車を止めた。乗員が飛び出すと、男が輸送車を運転し走り去った。昭和最大のミステリーといわれる三億円事件
▼75年に時効となったが、平成終盤の今も語り継がれ小説や映画の題材に。2016年にテレビドラマ化された漫画「モンタージュ」(渡辺潤作)では主人公が謎解きのため沖縄を訪れ、在日米軍基地も舞台となる
▼作中では真相に迫る鍵として、奪われた500円札が登場する。実際の事件でも通し番号を控えていた500円札2千枚余が手がかりだった
▼こちらのなりすましは防衛省沖縄防衛局。政府機関でありながら、私人の権利利益の救済を目的とした行政不服審査制度を利用した。行政法研究者110人が「違法行為」と指弾した。その間に沖縄から海を奪い、名護市辺野古に米軍基地を造ろうとする
普天間飛行場移設の原点は米兵による少女乱暴事件、沖縄の負担軽減。だが、政府は「事故」と「危険性除去」と言い張る。「辺野古は平成最大の謎」。そんなまやかしの未来を県民は望まない。