教員残業「月45時間以内」「繁忙期100時間未満」 中教審指針案 - 東京新聞(2018年12月6日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018120602000278.html
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小中学校などの教員の長時間労働是正策を議論する中教審の特別部会が六日開かれ、公立校の教員の残業時間を原則月四十五時間以内、繁忙期でも月百時間未満とする指針案を了承した。働き方改革関連法の上限に沿う内容。文部科学省は必要な制度改正に向け検討を始めるが、罰則は設けない方針で、実効性確保が課題となりそうだ。
特別部会では、長時間勤務の縮減策などを盛り込んだ答申素案も示され、労働時間を年単位で調整する変形労働時間制の導入を提言した。文科省は繁忙状況に応じて学期中の勤務時間を引き上げる一方、夏休み中の学校閉庁日を増やし長期休暇を取りやすくするなどの活用例を想定。導入する自治体が条例化できるよう教職員給与特別措置法(給特法)の来年度中の改正を目指す。
文科省の二〇一六年度教員勤務実態調査によると、残業時間が月四十五時間以上の公立小学校教諭の割合は81・8%、公立中学校教諭は89・0%に上る。
指針案は、民間企業の時間外労働の上限を定めた働き方改革関連法を参考に、教員の目安を原則月四十五時間、年三百六十時間に設定。特別な事情があっても月百時間未満、二〜六カ月の月平均で八十時間、年七百二十時間までとし、タイムカードなどで勤務時間を客観的に捉えるべきだとした。
ただ、同法にある罰則の導入は、答申素案で「慎重であるべきだ」と指摘した。公務員の扱いに合わせるためで文科省もその方向で対応する。
また、答申素案では改革の具体策で縮減できる一人当たりの年間勤務時間数の目安も提示した。
給特法では教員に給与月額の4%相当の「教職調整額」を支給する代わりに時間外手当の支給を認めておらず、残業の大半が自主的な労働とみなされていることに「勤務時間管理が不要との認識を広げている」との見方を記したが、抜本的な見直しには踏み込まなかった。

◆もっと現場に支援を
<教育評論家の尾木直樹さんの話> 教員の長時間労働は深刻な状況にあり放置できない。働き方改革に向けた中教審の議論の方向性は間違っていないが、現状の条件のもとで労働時間をいかにやりくりするかという内容に終始した印象だ。教員配置を充実させるなどの支援によって、現場にゆとりを生むという視点をもっと強く打ち出すべきではないか。中教審では残業時間の上限に関する指針案が示され、業務の見直しによりどの程度労働時間が減るかという目安も出たが、子どもと向き合う教育現場にとっては机上の空論で、現実味がない。