先生の残業減 仕事の「引き算」本気で - 東京新聞(2018年12月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018120702000172.html
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先生の働きすぎは解消できるのか。文部科学省中央教育審議会が負担削減の素案をまとめた。部活や会議など思い切った業務の削減とともに、学校を支える人材を分厚くする知恵や財源も必要だ。
子どもの未来を担う教育にはさまざまな立場の人がさまざまな理想を抱き、時代とともに変化もする。一つ一つはもっともなことでも、スクラップなきビルドの積み重ねで「聖職」の肩の荷は重くなりすぎたようだ。
二〇一六年度の教員勤務実態調査では、一日あたりの学内勤務時間は小中学校とも十一時間を超え、十年前と比べて増えた。若手教員の割合が増えていることや、授業時数の増加、中学では部活の長時間化もその背景にある。
今回、国は働き方改革関連法に沿う内容で原則月四十五時間以内など残業時間の上限をガイドラインで示した。中教審は、夏休み中などの休みを増やし、繁忙期の勤務時間を延長するなど年単位で労働時間を調整する変形労働時間制も選択肢として提言している。
部活動では外部の指導員も活用することなども盛り込まれた。ただ、ガイドラインには罰則は想定されておらず、教育委員会や管理職が本気を見せなければ、絵に描いた餅に終わるだろう。
教職員給与特別措置法は、月額の4%相当の調整額を支給する代わりに時間外手当は認めていない。このことが管理職の労働時間についての意識を希薄にしている側面がある。会議や書類などで無駄なもの、削れるものについて教員と話し合う良い機会にもなるのではないか。
文科省も新施策を打ち出すときには、労働時間に上限がある職場で対応可能か、これまで以上に慎重に支援策などを考えるべきだ。給特法が勤務実態に合っていないという批判にも誠実に向き合う必要がある。根本的には教員を増やしていくことが一番の解決策であることも忘れてはならない。
専門家や地域により深くかかわってもらうことで、学びを細らせない方策を編み出していくことも可能なはずだ。
話す力がより重視されるようになる英語は、特別免許状を活用し、英語が母語の外国人を積極的に教員に登用することも考えてもいいのではないか。
先生はスーパーマンじゃない。そのことを前提に、支えるすべを考えたい。先生に夢や希望がなければ、子どもたちにそれらを与えることもできない。