http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2018111902000151.html
https://megalodon.jp/2018-1119-0947-57/www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2018111902000151.html
学校法人加計学園や森友学園、陸上自衛隊の日報問題で行政文書が極めてずさんな管理下にあることが判明した。では、その中身さえ明らかにされない「特定秘密」の扱いはどうであろうか。
ヒントは衆議院情報監視審査会が提出した年次報告書にある。二〇一六年中に廃棄された特定秘密文書は約四十四万件ある。保存期間が一年未満の文書だ。多くは原本や写しがあるというが、問題は件数の異常な多さだ。
特定秘密の定義は「安全保障の情報のうち特に秘匿することが必要であるもの」だ。日弁連は興味深い見解を示している。
<一年間に約四十四万件もの特定秘密文書が廃棄されている実態は、特定秘密指定の外延が過度に広範に及んでいるのではないかという疑念さえ抱かしめかねないものである>
つまり本来、特定秘密に当たらない情報まで秘密指定している疑いがあるというのだ。法案審議の段階で、役所の恣意(しい)的な秘密指定が横行するのではと指摘された点だ。
役人の公文書改ざんまで明らかになった今日、秘密保護法の在り方も再考すべきではないか。誰が、どんな目的で、どのように特定秘密を利用していたか−。それが確認できる制度でなくてはならない。少なくとも保存期間は一年以上で、明確な基準もいる。検証可能な制度にしないと、国民の「知る権利」に背くことにもなる。 (桐山桂一)