5年内運用停止ほご また化けの皮が剝がれた - 琉球新報(2018年11月12日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-832636.html
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またもや、政府の化けの皮が剝がれた。県民に期待させるようなことを言って、時間がたつと手のひらを返す。「話くゎっちー(話のごちそう)」の狡猾(こうかつ)なやり方は、政府の常とう手段だ。
 来県した岩屋毅防衛相が普天間飛行場の「『5年以内の運用停止』は難しい」と述べた。「移設作業が残念ながら遅れてきたので」と、辺野古新基地に反対する県側に責任転嫁までしている。
安倍晋三首相も2017年2月に「残念ながら翁長雄志知事に協力していただけていない。難しい状況だ」と、実現困難を表明した。政権トップから早々に努力を放棄したことは政治の堕落でしかない。
政府は、口を開けば「移設問題の原点は危険性の除去」と強調しておきながら、実態は、本気で普天間飛行場の危険性除去を考えていないことが一段と鮮明になった。
そもそも、5年以内の運用停止は、仲井真弘多知事(当時)が13年12月に辺野古の埋め立てを承認する最大の条件だった。
仲井真氏は「政府が示している辺野古移設計画は約10年を要し、その間、普天間飛行場が現状維持の状態となるようなことは絶対に避けなければならない」として、工事進展とは切り離しての運用停止を求めた。
これに対し、安倍首相は「最大限努力する」と約束した。政府はその後、19年2月までの実現を明言していた。
仲井真氏も県議会で再三「移設と運用停止は切り離すべきだ」と答弁した。当初から、5年以内運用停止と移設は別物だったにもかかわらず、翁長県政が誕生すると、政府は突然「(運用停止は)辺野古移設への県の協力が前提」と変節した。
政府は米国と粘り強い交渉もせず、県外に移設候補地を探すこともしていない。知事承認を得るための空手形だったことは明々白々だ。県民をだまし討ちにしたと言うしかなく、断じて許せない。
岩屋防衛相は知事との会談で、沖縄の基地負担について「全国で受け持てる部分は受け持っていただく」とも述べた。これも口先だけに終わるのではないか。
菅義偉官房長官も14年の知事選前に「日本全体で沖縄の負担を軽減させてもらう」と大見えを切ったが、自らの努力の形跡は見られず、県の協力だけを一方的に求めている。
政府が危険性を放置している間にも、普天間第二小への窓枠落下や緑ヶ丘保育園への部品落下、所属機の不時着など事件事故が相次いだ。
県議会は2月に即時運用停止を求める決議を全会一致で可決した。沖縄市浦添市など多くの市町村議会も、5年以内の運用停止を求めている。
政府は新基地建設強行に力を注ぐのではなく、米国に対し、一日も早い普天間飛行場の運用停止を求めることに汗を流すべきだ。これこそが危険性除去を進める早道だ。