[普天間 負担軽減会議]「同床異夢」克服の道は - 沖縄タイムス(2019年4月11日)

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政府、沖縄県宜野湾市による米軍普天間飛行場の負担軽減推進会議が首相官邸で開かれた。
2016年7月以来、約2年9か月ぶりである。政府から菅義偉官房長官ら4関係閣僚、沖縄側から玉城デニー知事と松川正則宜野湾市長が出席した。
安倍晋三首相が14年に約束した普天間飛行場の「5年以内の運用停止」が2月で期限切れを迎えたことから、沖縄側が協議を求めていた。
玉城知事は普天間の運用停止と危険性除去に向け、3~6カ月の期間を設定し協議の場を設けるよう申し入れた。
松川市長は「市民の不安を取り除くためにも、ぜひお願いしたい」と、新たな目標期限の設定を要請した。
政府側から集中協議に対する返事はなかったが、新たな目標期限の設定については、すでに設置されている作業部会で詰めていくことを確認した。
普天間の「一日も早い危険性除去」(玉城知事)といい、普天間の「一日も早い全面返還」(岩屋毅防衛相)という。その限りで国、県、宜野湾市の究極的な目標は一致する。
だが、辺野古移設による解決をめざす政府と、埋め立てによる新基地建設に反対する県の間には、天と地ほどの開きがある。負担軽減推進会議は一言でいえば、同床異夢の再スタートである。
会議開催が「話し合う姿勢」を印象づけるための政治的ポーズであってはならない。重要なのは実質的な成果だ。

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普天間飛行場の「5年以内の運用停止」は、仲井真弘多元知事が辺野古埋め立て申請を承認する前提条件として政府に示したものだ。
仲井真氏は、普天間の危険性除去を一日も早く実現するという大義名分を掲げ、一方、安倍首相は、埋め立てを承認してもらうため、この申し入れを受け入れた。
だが、米軍は当初から実現を不可能視し、結局、本格的な協議もないまま期限切れを迎えた。
あの時と比べ、事情は大きく変わっている。
辺野古埋め立てを前提にした新たな運用停止期限の設定は、県民投票の結果に反するだけに、県はのめない。
軟弱地盤の改良に伴って工事が長期化することも明らかになっている。
政府自体が工期すら示せない現状で、運用停止期限を設定することが果たして可能なのか。新たな期限設定は容易でない。

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海兵隊がまとめた「2019航空計画」によると、海兵隊は、普天間飛行場を2028米会計年度(27年10月~28年9月)まで継続使用する計画を盛り込んでいる。
工事の遅れを見込んだ計画であることは明らかだ。
「一日も早い」という言葉を単なる枕ことばではなく実質を伴った言葉にするためにはどうすればいいのか。
合意形成をめざす真剣さ、誠実な姿勢がなければ、話し合いは成り立たない。
いったん工事を止め、信頼関係を築いた上で、協議を進めるべきである。強権一辺倒はあまりにも異常だ。