内閣改造不発で浮上 「北方領土解散」で来夏衆参W選挙説 - 日刊ゲンダイDIGITAL(2018年10月6日)

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内閣改造して支持率が下がるなんて、前代未聞だ。しかも、この新内閣の顔ぶれでは、スキャンダルや問題発言のリスクはあっても、上がり目なし。このままでは野垂れ死にが必至で、早くも来夏の衆参ダブル選挙を予想する声が上がり始めている。
自民党内に衝撃が走っている。内閣改造を受け、共同通信が2、3日に実施した全国緊急電話世論調査で、安倍内閣の支持率は46・5%と、前回9月の調査から0・9ポイント下がったからだ。
「普通は、人事の直後には支持率が上がる。それがいきなり下がったので、党内は『これで来年の統一地方選参院選が戦えるのか』という不安の声で持ちきりです。統一地方選は半年後ですが、それまでの臨時国会通常国会で何が飛び出すか分からないし、今より支持率が上がっている確率は限りなくゼロに近い。参院選で大敗すれば、安倍退陣もあり得ます。それで、総理は来夏の衆参ダブルに打って出て延命するという説が、一気に駆けめぐっているのです」(自民党関係者)
参院選単独では負けが濃厚でも、衆参ダブルは政権選択選挙になるため、与党側に有利になるとされる。事実、過去2回の衆参ダブルで与党の自民党が勝利を収めている。
ただ問題は、衆院解散の大義を何にするかだ。勝つためには手段を選ばず、昨年は「国難突破」とかいうフザケた理由で解散に打って出た安倍首相のことだから、適当なこじつけで「大義なき解散」を打つ可能性も囁かれているが、それができたのも高い支持率と強固な権力基盤があってのこと。レームダック化した現政権にそんな力はない。

改憲無理なら2島返還で

そこで浮上しているのが、「北方領土2島返還解散」だという。
「ロシアは軍事要塞化を進める択捉島は手放す気はないので絶対に返還に応じないが、歯舞群島色丹島の2島ならば応じる余地がある。そこで、『2島だけの返還でもいいか』と総選挙で国民に聞くシナリオです。これが実現すれば、安倍総理の政治的レガシーづくりにもなる。悲願の憲法改正は、連立を組む公明党の山口代表が難色を示している上、現状では党内もまとめられそうになく、意欲を示していた臨時国会での国会提出は、まず無理でしょう。これだけの長期政権で、レガシーが辺野古埋め立てだけという状況は避けたい。改憲が無理でも、領土を取り戻せば歴史に名を残せると考えているのです」(官邸関係者)
そんな子供だましが通用するのか。安倍首相個人の悲願やレガシーづくりのつもりだろうが、選挙敗北という“自爆解散”になりかねない。
政治ジャーナリストの山田厚俊氏がこう言う。
「衆参ダブルをにおわせれば、党内を引き締めることができる。選挙前にもう一度、内閣改造をやるのではないかという期待感は求心力アップにもつながります。ただ、今の安倍政権の不人気ぶりからすると、簡単に衆参ダブルを打てる状況ではない。閣僚や首相自身のスキャンダルで国会が紛糾すれば、統一地方選のタイミングで安倍降ろしが始まるかもしれません」
起死回生の「北方領土解散・ダブル選」か、春までに命運が尽きるのか。今月召集の臨時国会が試金石になる。