<金口木舌>台風を超えて - 琉球新報(2018年9月30日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-810472.html
http://archive.today/2018.09.30-010510/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-810472.html

あらゆる所で「台風」が吹き荒れている。性的少数者に対する偏見に満ちた見解を月刊誌に寄稿した自民党杉田水脈(みお)衆院議員。援護する企画まで掲載した「新潮45」は休刊に。多くの人を傷つけたことを認識するべきだ
角界の「台風の目」になったのは貴乃花親方。日本相撲協会との対立が続いたことによる「引退」の決断だろうが、弟子の今後を含め影響は大きい。話し合いで溝を埋める努力は十分なされたのか
▼沖縄地方は文字通り台風の直撃を受けている。きょう投開票される県知事選でも県民を翻弄(ほんろう)した。選挙では全有権者が権利を行使できる環境を確保しなければならない。琉球新報は28日付紙面で、車いす利用者に対する投票所の対応状況を調べた
▼少なくとも67カ所で利用が困難だと分かった。県脊髄損傷者協会理事長の仲根健作さんは、設備が整う商業施設での期日前投票を呼び掛けた。週末は人が多くて利用しにくい状況もあったため、商業施設や図書館での投票所がさらに増えることが願いだ
悪天候は障害のある人の投票機会をさらに狭める。郵便による不在者投票などの制度はあるが広く知られていない。仲根さんは「各自治体が積極的に告知してほしい」と求める
▼30日は投開票日。対話を大事にし、偏見や差別がなく、全ての県民が暮らしやすい社会を築いていける知事の誕生を期待する。