(私説・論説室から)悪童トランプ - 東京新聞(2018年7月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2018071802000167.html
http://archive.today/2018.07.18-060124/http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2018071802000167.html

猛暑の三連休に、たまたま録画してあった米国映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を見た。
戦後の日本経済が破竹の勢いで成長し、日米貿易摩擦が激しかった一九八五年。会話や画面にはトヨタパナソニック、アイワなどが次々と現れ、トランプ大統領がモデルとされるいじめっ子ビフの少し間の抜けた悪童ぶり。三十年以上前の映画とは思えない楽しさ、アメリカ映画の底力に改めて感心させられた。
ところで「反知性主義」という言葉を最近、しばしば耳にする。
頭がいいことを鼻にかけるエリートへの反感−のように聞こえるが、国際基督教大学の副学長、森本あんりさんの講演の話が分かりやすかった。
森本さんによると、単なる知性への反発ではなく「知性と富、権力との固定的な結び付きに対する反発」なのだという。
学歴の高い豊かな家庭の子がよい教育を受け、富や権力が固定化して特権階級が生まれる。これに腹を立てているのがトランプ大統領を生んだ今のアメリカで、反知性主義は社会の刷新につながる可能性も秘めている…。
いじめっ子の悪童ビフのように世界をかき回す大統領は果たしてどんな役回りを演じただろうか。デロリアンで二〇四八年に行ってみたい。    (安田英昭)