http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/284155
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公開中の映画「焼肉ドラゴン」(鄭義信(チョンウィシン)監督)は、伊丹空港そばにあった在日コリアン集落で焼き肉屋を営む家族の物語。1970年前後の高度成長のあおりを全て受けながら、懸命に生きる人間模様に泣き笑いした
▼寡黙な父と騒々しい母を演じるのは韓国の名優。2人の人生には日本の植民地支配、済州島「4・3事件」などの苦難が絡む。だが「たとえ昨日がどんなでも、明日はきっとええ日になる」を口癖に前を向く
▼日弁連が2016年、朝鮮学校への補助金停止に反対する声明を出して以降、全国で弁護士への懲戒請求が続出している。昨年は例年の数十倍の約13万件。文面は似通っており、あるブログの呼び掛けに応じた人々がやったとみられる
▼東京弁護士会所属で懲戒請求された18人中、役員を除く8人が在日コリアン。うち2人が12日、「『在日』との理由だけで懲戒請求したのは人種差別」として損害賠償訴訟を起こした
▼訴えた金竜介弁護士は「匿名によるネット上の差別も問題だが、請求者は自宅の住所と名前を明記して郵送している。タガが外れ、堂々と人種差別するようになっている」と危機感を示す
▼事態を放置すれば、差別と憎しみがさらにまん延してしまう。劇中の言葉「明日はきっとええ日になる」は、どんな社会を望むのかを一人一人に投げ掛けている。(磯野直)