(筆洗)「財務省でたらめ目録」 - 東京新聞(2018年4月10日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018041002000121.html
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「さはら刺身 生姜醤油(しょうがしょうゆ)/たひ刺身/かぢき刺身/まぐろ 霜降りとろノぶつ切り/ふな刺身 芥子(からし)味噌/べらたノ芥子味噌」に「牛肉網焼/ポークカツレツ/ベーコン」「西条柿/水蜜桃二十世紀梨」…。作家内田百〓の「餓鬼道肴蔬目録(がきどうこうそもくろく)」。ざっと数えて百近い料理などを書き連ねている。
書いたのは戦争中の一九四四(昭和十九)年。「食ベルモノガ無クナツタノデセメテ記憶ノ中カラウマイ物食ベタイ物ノ名前ダケデモ」と、この目録を書いた。その時代を想像すれば、笑えぬ空想のリストである。
百〓先生の目録を読んでいると腹が減ってくるが、こっちの「あったことにして」の口裏合わせはめっぽう腹が立ってくる。森友学園への国有地売却問題。財務省は昨日、同省理財局の職員が森友学園側に対し、問題の国有地の地中のごみの撤去について、虚偽の説明をするよう求めていたことを認めた。
「トラック何千台も走った気がするという言い方をしてはどうか」。八億円の値引きはごみの撤去が必要なためだと説明していた財務省としては森友学園側にぜひとも、そういってもらわなければならなかったのだろう。
森友側は拒否したが、財務省が国民の目を欺く偽装のアドバイスをしたことに他ならぬ。
「忖度(そんたく) 虚偽 隠蔽(いんぺい) 改ざん 口裏合わせ」。「財務省でたらめ目録」。書き出せば、切りがない。情けない。

※〓は、門がまえに月