森友と財務省 口裏合わせ図るとは - 東京新聞(2018年4月10日)

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財務省職員が昨年、森友学園側にごみの撤去作業に関する口裏合わせを求めていた−。国有地値引きに絡む新事実を参院財務省の太田充理財局長が認めた。深まる疑惑を解明せねばならない。
太田局長の答弁は最初から約八億円もの「値引きありき」だったのではないかとの疑いを強く印象づけるものだった。
発端は昨年二月十七日の衆院予算委員会だ。野党が佐川宣寿理財局長(当時)に「約八億円かけてごみを搬出するとダンプカー四千台分になる。実際に工事を確認したのか」と質問した。
佐川氏は「適正な価格で(国有地を)売った」などと答弁するにとどまった。この答弁の後の二月二十日、財務省理財局の職員が「撤去費用が相当かかり、トラック何千台も走った気がするといった言い方をしてはどうか」とうその説明をするよう森友学園側の弁護士に持ち掛けたという。太田局長が説明した。
太田氏は「理財局の職員が(国会答弁との)整合性を取るため(口裏合わせを)行った」と認め、「事実と異なる説明を求めたのは間違いなく誤った対応。大変恥ずかしいことで、申し訳ない。深くおわびします」と陳謝した。
もっと許し難いのは、佐川氏の昨年二月二十日の答弁である。「廃棄物の撤去については適切に行ったことを近畿財務局で確認している」と述べたのだ。だから、近畿財務局でも、答弁との整合性が求められることになった。
理財局職員が口裏合わせを求めたが、近畿財務局の職員は「事実に反する」として応じなかった。
佐川氏の答弁は虚偽ではないのか。国権の最高機関の場で、国民の代表である国会議員に対し、不誠実な説明をし、その部下が森友学園側や近畿財務局に虚偽の事実の口裏合わせを画策する。これは国会への冒涜(ぼうとく)である。国民への冒涜でもある。
これまで森友学園に関する財務省の決裁文書の改ざん問題に揺れていた。だが、すごろくは初めに戻って、一から調べ直すべきである。本当に四千台のダンプカーで八億円分のごみを搬出したのか。始めから値引きありきのスキームだったのではないか。
太田局長の答弁は森友問題解決の入り口になりうる。公文書の改ざんといい、口裏合わせといい、財務省の隠蔽(いんぺい)工作は想像を超える。佐川氏の証人喚問でもそれがうかがえる。隠さねばならない巨悪が眠っているからだろう。