(筆洗)在沖縄米軍トップはこの事態を「クレイジーだ」と評しているが、 - 東京新聞(2018年1月26日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018012602000151.html
https://megalodon.jp/2018-0126-1039-07/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018012602000151.html

英語の「クレイジー」は、スカンディナビア半島の言葉「クラーサ」に由来するという。クラーサとは「バラバラ、粉々になる」という意味。英語のクレイジーも古くは「砕けた、ひびの入った」という意味で使われていたが、やがて正気を失ったさまを示すようになったそうだ。
今、心配なのは米軍の規律に、ひびが入っていないかということだ。沖縄では今月に入って米軍ヘリの不時着が三回も起きた。
在沖縄米軍トップはこの事態を「クレイジーだ」と評しているが、日本側の飛行停止要請にかかわらず、知らん顔でヘリを飛ばし続けているのだから、信頼関係がバラバラになってもいいのだろう。
琉球新報によれば、日本では政府の管理権は米軍基地内に及ばないが、イタリアでは同国軍が米軍基地の管理権を持つ。緊急時を除き深夜や早朝の飛行を行わないなど周辺住民に配慮し、かの国の人々が大切にする昼寝の時間に、飛行を自粛している米軍基地さえあるという。
沖縄では先月、小学校の校庭に米軍ヘリの部品が落下する事故も起きた。この小学校が校庭で避難訓練をしていたら、学校の上空を避けるはずの米軍ヘリが飛来し、日米で「上空を飛んだ、飛ばない」で議論になっている。
イタリアでは昼寝にも気配りしているのに、沖縄では学校の安心さえないがしろにされる。何とも、「クレイジー」な話である。