(森友の撤去ごみ)もう言い逃れはできない - 高知新聞(2017年12月18日)

http://www.kochinews.co.jp/article/146720
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学校法人「森友学園」への大阪府豊中市の国有地払い下げ問題でまた新たな事実である。
小学校の建設用地から撤去されたごみの量は、国の算定の100分の1だったことが分かった。民進党の調査チームの会合で、国土交通省大阪航空局が明らかにした。
大阪航空局は払い下げに当たり、地中から新たなごみが見つかった、との学園側の申し出を踏まえ、撤去すべきごみの量と経費をはじいていた。約1万9500トン、約8億2千万円だった。
財務省近畿財務局はこの額を値引きし、土地を1億3400万円で売却する契約を結んだが、実際に撤去されたのは194トンだったという。
ごみの量を巡っては会計検査院が11月、国の見積もりは過大と指摘。「値引き額の根拠が不十分で、算定の際に慎重な検討を欠いていた」と結論付けている。新たな事実もこの指摘を裏付けるものだ。
それにしても100分の1というのは看過できない。算定が不十分であるにしても程がある。作為的と疑う声が出て当然だ。
衆院選や特別国会が終わったいまごろになって、こうした重要な情報が出てくること自体、政府の姿勢が問われよう。
特別国会では財務省が、学園と近畿財務局とのやりとりを録音した音声データの内容を認めた。「ゼロ円に極めて近い形で、払い下げをしてほしい」と迫る学園側に対し、近畿財務局側は「できるだけ努力する」などと応じている。
財務省は、やりとりは国の考え方を示したものであり、価格交渉ではなかった、としている。強弁というものだ。
土地購入を希望した別の学校法人には、ごみの撤去費として約8430万円を示していたことも明らかになった。単純比較はできないにしても、森友への配慮が目立つ。
安倍昭恵首相夫人が一時、名誉校長に就任していた小学校の建設は、かくも異例ずくめだ。手続きがゆがめられていたのは明らかである。
しかも、政府のこれまでの対応はあまりに不誠実だ。
ことしの通常国会財務省の佐川・前理財局長は、「面会記録は残っていない」「適正な価格で売った」「先方にあらかじめ価格について申し上げることはない」などと説明してきた。最近判明した事実はこれらの答弁と矛盾する。
財務省は来年にも国有財産の処分手続きを厳格化するという。問題にけじめをつけないまま教訓にするというのだろうか。
もう言い逃れは許されない。政府に改めて求める。なぜこうした事態になったのか、国民が納得できるまで説明を尽くすべきだ。トップの麻生財務相の責任も重い。
来月には次の通常国会が召集される。国会は、加計学園問題も含め、追及を強める必要がある。真相究明には昭恵氏や佐川氏の招致が欠かせないことはいうまでもない。