自民改憲案 年内集約断念 参院合区解消は大筋了承 - 毎日新聞(2017年11月16日)

https://mainichi.jp/articles/20171117/k00/00m/010/103000c
http://archive.is/2017.11.16-203112/https://mainichi.jp/articles/20171117/k00/00m/010/103000c

自民党は16日、安倍晋三首相が掲げる自衛隊の明記など4項目の党憲法改正案について、年内の取りまとめを見送る方針を固めた。衆院選で議論が遅れたことなどから党内集約が間に合わないと判断した。党執行部は年明けにもまとめたい考えだが、首相が想定する「来年の通常国会改憲原案発議」がずれ込む可能性もある。一方、自民憲法改正推進本部(細田博之本部長)は16日の全体会合で、参院選の合区を解消する憲法47条、92条改正案のたたき台を大筋了承した。
たたき台は、国政選挙について法律で定めるとしている47条に、選挙区の区割りは行政区画などを勘案するとの条文を追加。さらに参院議員が「広域的な地方公共団体の区域から少なくとも一人が選出される」などのただし書きを加える。
また憲法都道府県の記述がないことから、92条に都道府県と市町村を地方公共団体とする条文を追加する。国会議員を「全国民の代表」とする43条と「法の下の平等」を定めた14条は改正しないため、両条文に基づく「投票価値の平等」と、都道府県からの選出を義務づけるたたき台が矛盾する可能性もある。自民は今後具体的な条文作成に入るが、「1票の格差」の是正策は各党の溝が大きく、他党から異論が出そうだ。
一方、自民の重点4項目のうち▽自衛隊明記▽教育無償化▽緊急事態対応−−の3項目は党内でも意見集約のメドが立たない。首相は「丁寧」な政権運営を強調しており、他党との議論に想定以上の時間がかかる可能性もある。自民改憲推進本部の岡田直樹事務局長は16日の記者会見で党改憲案について「スケジュールありきでない。積み残した課題もある」と指摘した。【小田中大、田中裕之】


「合区解消」の自民改憲案たたき台

<現行47条>選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める

(第1項などとして追加)

 「各選挙区は、人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定めなければならない」「参議院議員の全部または一部については、改選ごとに各広域的な地方公共団体の区域から少なくとも一人が選出されるよう定めなければならない」

<現行92条>地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める

 (追加)「地方公共団体は、基礎的な地方公共団体及びこれを包括する広域的な地方公共団体とすることを基本とし、その種類は、法律で定める」