「謙虚」、問われる行動=「加計」「森友」に言及一切なし−所信表明演説 - 時事ドットコム(2017年11月17日)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2017111700702&g=pol

安倍晋三首相は17日の所信表明演説で、先の衆院選で公約した「人づくり革命」などの政策課題の実行や、悲願とする憲法改正の議論促進を訴えた。だが、国民が厳しい視線を注ぐ学校法人「加計学園」「森友学園」をめぐる問題への言及は一切なし。「謙虚な姿勢で」「丁寧に説明」と繰り返す首相の行動が今後問われる。
首相は演説の締めくくりで、自民党の野党時代を振り返り、「なぜ政権を失ったか痛切に反省し、政策を鍛え上げた」と強調。政策実行への決意を改めて示した。その上で「与野党の枠を超えて建設的な政策議論を行い、前に進んでいこう」と呼び掛けた。一見、低姿勢の印象だが、現在批判の的となっている加計・森友問題などにどう向き合うのか、説明はなかった。
衆院選後、政府は首相の友人が理事長を務める加計学園獣医学部について、来年4月開学を認可した。行政の公平性の観点から野党などが批判を強める中、説明が尽くされたか疑問が残る。この理事長や、森友問題での首相夫人・昭恵氏の国会招致に、首相が前向きに対応しているようには見えない。
また、自民党は国会での野党の質問時間削減へ動いた。加計問題をめぐる15日の衆院委員会の時間配分は従来の与野党「2対8」から「1対2」になった。
改憲をめぐり、首相が再三口にする「スケジュールありきではない」という言葉も、額面通りには受け取れない。自民党に検討を促し、来年の通常国会への改憲案提出に向け着々と準備を進めているからだ。衆参両院で改憲勢力が3分の2を確保しているとはいえ、与党の公明党は拙速に運ばないようけん制。ここでも謙虚さ、丁寧さが求められている。