http://mainichi.jp/articles/20171012/ddm/012/010/038000c
http://archive.is/2017.10.11-235625/https://mainichi.jp/articles/20171012/ddm/012/010/038000c
原子力規制委員会は11日、日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の新規制基準に基づく審査を中断することを決めた。同社が必要な点検をせずに点検日誌に「異常なし」と虚偽記載していたことなどを保安規定違反と認定したことを受け、同社の工藤健二社長が審査の先送りを申し出た。稼働の前提となる審査の長期化は避けられず、目標としている2018年度上半期の完成は絶望的となった。【鈴木理之】
再処理工場では8月、非常用電源建屋に雨水約800リットルの流入が見つかった。建屋脇の地下に配管が通る施設があり、ここにたまっていた雨水がすき間などから建屋に流れ込んだ。規制委の検査で、この地下施設は03年の設置以来、一度も点検されていなかったにもかかわらず、日誌には「異常なし」と記載され、規制委にもそう報告されていた。同社は隣接する地下施設と取り違えていたという。
この日の規制委定例会に出席した工藤社長は「(点検という)基本的なルールが守られていなかった。最大限の危機感をもって対応する」と陳謝し、年末までに工場内の全施設を点検すると表明した。
規制委の更田豊志(ふけたとよし)委員長は「点検していない『開かずの間』があるのは安全以前の問題だ」と批判し、「(審査再開までには)時間がかかる」との見通しを示した。
再処理工場は使用済み核燃料から再利用可能なウランやプルトニウムを取り出す施設で、核燃料サイクルの要。これまでもトラブルが頻発し、1997年の完成予定を23回も延期している。核燃料サイクルの中核施設だった高速増殖原型炉「もんじゅ」は機器の点検漏れなどが相次いで発覚し、16年に廃炉が決まった。
日本原燃幹部は「『第二のもんじゅ』になってはいけない。それが社内の共通認識だ」と打ち明けた。