使用済み核燃料 関電、青森で貯蔵検討 原発長期運転にらむ - 日本経済新聞(2018年1月7日)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2542114007012018EA1000/
http://archive.is/2018.01.07-005450/https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2542114007012018EA1000/


関西電力福井県原子力発電所から出た使用済み核燃料の中間貯蔵について、東京電力ホールディングスと日本原子力発電が持つ青森県むつ市の施設を利用する方向で検討に入ったことが分かった。福井県の要請を受け2018年中に具体的な計画を示すとしていた。懸案だった貯蔵先を確保し原発の長期運転にめどをつけたい意向だ。
関電は、東電が8割、日本原電が2割出資する「リサイクル燃料貯蔵」が持つむつ市の中間貯蔵施設の一部を有償で利用する方向で同社と交渉に入った。ただ、原発に慎重な世論もあり、地元の青森県などとの調整は難航も予想されている。
関電はすべての原発福井県に置いている。大飯原発1、2号機の廃炉を決めたが、引き続き原発を基幹電源と位置付けている。現在は使用済み燃料を各原発の敷地内で一時的に保管しているが、美浜は9年程度、高浜は6〜7年、大飯は7年程度で貯蔵プールが一杯になると試算。これに代わる中間貯蔵施設の確保が課題となっていた。
福井県の西川一誠知事はこれまで中間貯蔵施設は県外に建てるように関電側に要請。関電も福井県外を前提に、20年までに建設地を決め、30年ごろに稼働させる方針を示していた。昨年11月には18年中に候補地を明らかにすると表明していた。
使用済み核燃料は原発でウラン燃料を燃やして電気をつくる際に出る。少量のウランなどが残り、日本では再処理でプルトニウムなどを取り出して、再び燃料として使う核燃料サイクルを推進している。だが、日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)は完成時期が何度も延期されている。電力各社が抱える使用済み核燃料は膨らむ一方で、貯蔵プールも容量に限界がある。

関連サイト)
<道東沖M9予測>原発事業者は冷静 漁協は驚き隠せず 青森・下北 - 河北新報(2017年12月20日)
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201712/20171220_23017.html
http://archive.is/2018.01.07-014818/http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201712/20171220_23017.html

地震調査委員会が公表した長期評価によると、北海道東部沖の海溝型地震原子力施設が集中する青森県下北半島への被害も想定される。各事業者は評価を冷静に受け止めるが、地元からは驚きの声が上がった。
使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)を持つ日本原燃は「700ガルの基準地震動は(原子力規制委員会の)審査会合で妥当と評価されている」と、マグニチュード(M)9級の揺れは想定済みとの認識を示す。
施設は海岸から約5キロの標高55メートルにあるため「津波は到達しないとして審査は終了している」と言う。
東通原発東通村)がある東北電力は「詳細を把握していないのでコメントは控える」との談話を出した上で、津波に関し「(審査会合などでの)評価への反映について最新の知見を注視する」と補足した。
これに対し尻屋漁協(東通村)の浜端功参事は「初めて聞いた。詳しく知りたい」と驚きを隠せない。白糠漁協(同)の東田強一参事も「突然の発表で驚いている。組合員に注意を喚起するつもりだ」と述べた。
「仮に被害が発生する可能性があれば防災計画を見直す必要がある」と語るのは東通村原子力対策課。六ケ所村原子力対策課も「新たに浸水域が広がるようならハザードマップを見直したい」と話した。
県防災危機管理課の坂本敏昭課長は「巨大地震の発生を前提に被害想定をしている。評価を踏まえ、必要ならば対策を講じていきたい」と説明した。