衆院選 各党、手違い続々 - 毎日新聞(2017年10月5日)

https://mainichi.jp/senkyo/articles/20171006/k00/00m/010/161000c
http://archive.is/2017.10.05-173131/https://mainichi.jp/senkyo/articles/20171006/k00/00m/010/161000c

首相演説、ヤジ懸念し場所変更
「諸般の事情により、安倍総裁の演説は中止となりました」
5日午後4時半過ぎの新百合ケ丘駅前(川崎市)。印字された紙を持った男性が100人以上の人々に頭を下げて回っていた。実際に安倍晋三首相が午後5時前に登場したのは、同駅から4駅離れた向ケ丘遊園駅前(同市)だった。場所変更は告知されなかった。
背景にあるのは東京都議選での「秋葉原ショック」だ。演説中に「帰れ」「安倍やめろ」と繰り返す聴衆の一部に、首相が「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と語気を強め、批判を受けた。
場所変更のきっかけは、地元の自民前職の事務所が、新百合ケ丘駅への首相来援をホームページで告知してしまったこと。告知を受けてツイッターに「行ってヤジりたい」などの書き込みがあった。
前職の事務所関係者は「首相に批判的な方々が来る情報があり、安全に演説できるか懸念があった。首相の警備のため、最後まで場所変更を(新百合ケ丘駅の聴衆に)伝えられなかった」と明かす。
向ケ丘遊園では数百人の聴衆が拍手で首相を迎えた。演説後、首相は「総理ー」「安倍さーん」との歓声を浴びながら笑顔で握手やハイタッチを繰り返して立ち去った。
しかし、前職の事務所には場所変更の理由をただす電話が続き、ネットには「首相が逃げた」との書き込みが相次いでいる。
希望「顧問に大村氏」撤回
希望の党でも5日、手違いがあった。同党は同日午前、「顧問として、大村秀章愛知県知事を迎えましたことを、ここにお伝えいたします」と記した資料を公表。しかし、同日夕に「事務局による誤りでした。おわびします」と撤回した。
同党代表の小池百合子東京都知事は先月30日、大阪市内で大村氏と日本維新の会代表の松井一郎大阪府知事と会談し、「三都物語」と銘打った地方分権に関する共通構想を発表したばかり。希望の党事務局は当初、「小池氏が大村氏に要請した。連携強化のためだ」と説明。その直後に「内定だった」と説明を修正し、そのまま報道された。
希望側は詳しい説明を避けているが、新党を設立したばかりで膨大な事務作業に少ない人員で臨んでいることが背景にあるようだ。大村氏は5日、名古屋市内で取材に応じ、「顧問という肩書は考えておらず、メディアに聞いて驚いた。事務的な早とちりだったと思う」と困惑気味に語った。
離党の福山氏「すっきり」
手違いの極みの混乱の中にある民進党では、新たな動きも出た。党に残る参院議員を束ねる小川敏夫参院議員会長は5日、ツイッターで、前原誠司代表から「立憲民主党、無所属の候補者を応援することを容認する」と電話で伝えられたと公表。「私も立憲民主党の候補を応援する」と書き込んだ。
一方、民進党に離党届を提出したのは、前原氏と同じ京都選出の福山哲郎官房副長官。福山氏は会見後、そのまま枝野幸男立憲民主党代表の議員会館の部屋を訪問し、「入党させてください」と握手を求めた。
枝野氏は「ようやく立憲民主党に幹事長が生まれた」と応じて幹事長に任命。福山氏は「すっげえ、離党してすっきりしました」と笑顔を見せた。