「残業代ゼロ」容認撤回 連合決定会長が混乱謝罪 - 東京新聞(2017年7月28日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201707/CK2017072702000271.html
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高収入の一部専門職を残業代支払いなど労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」を含む労働基準法改正案の修正を巡り、連合は二十七日、札幌市内で臨時の中央執行委員会を開催。政労使での修正合意を見送り、新制度への事実上の容認姿勢を撤回すると決めた。
委員会の出席者によると、神津里季生(こうづりきお)会長は、執行部が政府に改正案修正を要請したことで組織内に混乱を招いたとして謝罪した。神津会長は委員会終了後、報道陣に「(執行部の)提案が了承された」と述べた。
連合は委員会での決定を受け「政労使合意は見送る。制度に反対の立場から、労働政策審議会の議論や民進党と連携した国会での取り組みを全力で行う」との逢見直人(おうみなおと)事務局長名のコメントを発表した。
委員会では、合意見送りへの評価の声があった一方、「組織内外に混乱を与えてしまった。信頼回復を図る必要がある」「民進党との連携を再構築するべきだ」との意見もあったという。
連合は従来、新制度に反対の立場だったが、十三日、神津会長が安倍晋三首相と会談し健康確保措置の拡充など改正案の修正を要請。首相も応じる姿勢を示し、今月中に政労使のトップ会談を開いて修正で合意する見通しになっていた。
だが、事実上の容認に転じたことに組織内外から異論が噴出。神津会長は二十一日、合意に関し「議論を継続する」と述べ、その後、合意見送りの方針を固めていた。
中央執行委員会は連合の意思決定機関のひとつで、産業別労働組合や地方連合会の幹部らがメンバーになっている。

高度プロフェッショナル制度> 高年収の一部専門職を残業代支払いなど労働時間規制から外す制度。対象は年収1075万円以上の金融ディーラーや研究開発職などで「働いた時間と成果との関連性が高くない業務」とされている。政府は効率的で柔軟な働き方が可能になるとするが、労働時間の上限を原則1日8時間、週40時間などとする規制が適用されなくなるため、野党や過労死遺族は「残業代ゼロ」「長時間労働を助長する」と批判。労働基準法改正案の柱として2年前、国会に提出されたが審議は先送りされ続けている。