立憲主義の破壊と権力の暴走――「『天皇機関説』事件」の著者が語る安倍政権との類似点とは? | 週プレNews(2017年7月23日)

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─うーん、何やら「美しい国、日本」みたいな…。震災や原発事故、経済の停滞と格差の拡大など、日本という国が自信を失い、様々な不安に直面しているという点でも「現代」に重なりますね。
山崎雅弘さん) 4年前、安倍首相が憲法について「国家権力を縛るという考え方は王権が絶対権力を持っていた時代の考え方で、今の憲法とは日本という国の形や理想と未来を語るもの」だと語ったり、「立憲主義がすべて権力を縛るものだという考え方は古い」という趣旨の発言をしたりして物議を醸(かも)していましたよね。
近代的な民主主義国家の「常識」としての「憲法」や「立憲主義」に対して、「日本には別の常識がある」という姿勢は当時の「国体明徴運動」と重なります。また、それは2012年に発表された「自民党改憲草案」にも随所に表れています。


─そう考えると、日本社会は今、新たな「歴史の転換点」に立っているのでしょうか?

山崎雅弘さん) そう思います。だからこそ、一般の人たちが国家権力を縛る「憲法」の意味と、その「憲法の枠組み」の中で国を治める「立憲主義」の原則が持つ大切さについて、しっかりと理解する必要があると思います。
ところが、あの不幸な戦争を経て新たな「日本国憲法」の下で戦後を歩んできたにも関わらず、そうした「憲法」の意味や「立憲主義」への意識というものが、未だに日本人の中で血肉化されていない。
だからこそ我々は今一度、「歴史」を振り返り、立憲主義の破壊とそれによる権力の暴走が社会に何をもたらすのか、そのことを過去の不幸な歴史から改めて学ぶ必要があると思います。昭和史の大きな「転換点」となった「天皇機関説事件」には、この国が「再び同じ過ちを繰り返さない」ための多くのヒントがあるはずです。

「天皇機関説」事件 (集英社新書)

「天皇機関説」事件 (集英社新書)