映画監督・森達也が新有権者へメッセージ「棄権していい。へたに投票しないでくれ」- 週プレNews(2016年7月6日)

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(2/3)http://wpb.shueisha.co.jp/2016/07/06/67558/2
(魚拓2/3)http://megalodon.jp/2016-0706-1014-16/wpb.shueisha.co.jp/2016/07/06/67558/2

(3/3)http://wpb.shueisha.co.jp/2016/07/06/67558/3
(魚拓3/3)http://megalodon.jp/2016-0706-1014-44/wpb.shueisha.co.jp/2016/07/06/67558/3

選挙に行くことは、この国のグランドデザインを考えること。それを考えられない人は棄権していい。将来を考えると、「へたに投票しないでくれ」とも思います。
今は同調圧力がとても強い時代で、特に若者は多数派に流れる傾向がある。無自覚な同調圧力が蔓延(まんえん)しています。そばにいる数人が「自民党支持」と言ったら、自分も自民党支持になる傾向が強い。多数派はより多数派に、少数派はより少数派になってしまう。
最近、僕が教えている明治大学の学生20人ほどに支持政党を聞いたら、9割ぐらいが自民党支持だった。ところが憲法改正について聞くと、半分以上の学生が「憲法はこのままでいい」と答えました。
言うまでもないことですが、自民党の党是は「自主憲法制定」です。皆さんは自民党憲法改正草案を読んだことがありますか。
僕自身はきちんとした議論があれば、9条以外の改正は認めてもいいという立場でした。しかし、自民党憲法改正草案を読んで、一字一句変えるべきではないと思いました。これは改正ではない。保守の自己陶酔の作文です。
僕が学生たちに「君たちは自民党支持なのに、半分以上が憲法はこのままでいいという。このねじれはどういうことか」と聞いたら、彼らはわかっていなかった。予想以上に何も知らない。「憲法を守りたい」と「自民党支持」がなんとなくイコールになってしまっているレベルなら投票しないほうがいい。

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今、日本の政治は一部の特権階級の独占物になっている。新規参入を促すために、有権者が政治に対する概念を根本的に変えるべきです。
多くの人は「政治は国会議員がやるもの」と思っている。確かに間違いではありませんが、それは表面の一部にすぎません。この世に存在するものは、すべて政治的な要因が絡んだ上で形づくられている。だから政治が変わるだけで生活もゴロッと変わります。
民主主義の基本は主権在民。つまり、僕たちが国の最高法規、最高権力者なんです。僕たちは忙しいから、政治家に「やっておいてね」とお願いしているだけ。有権者はもっと高飛車になっていいんです。そもそも議員を「先生」と呼ぶのがよくない。議員でいい。彼らは小間使いで、偉くもなんともないんですから。
学校でも、クラス委員になるのは目立ちたがり屋で自己顕示欲が強くて先生のウケがいい人間でした。「あいつにやらしとけよ」っていうものだったでしょ? その延長だと思えばいいんですよ。
アメリカ大統領選では、民主党予備選挙バーニー・サンダースが大善戦した。彼はアメリカの国是とは逆のことを言う民主社会主義者で、最初はまったくの泡沫候補でした。それが台風の目になったのは、若い世代が支持し、応援してきたから。
アメリカは同調圧力がなく、若い世代が政治に関心を持っている。日本の若い人にも、そういう意識を持つなら、ぜひ投票してくれと思います。

関連サイト)
まだ絶望していないあなたへ(森達也さん)- ポリタス 参院選都知事選 2016 - 何のために投票するのか(2016年7月4日)
http://politas.jp/features/10/article/496