「加計ありき」新文書でさらに 自民、閉会中審査拒否 - 東京新聞(2017年6月21日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201706/CK2017062102000128.html
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安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)の獣医学部新設計画を巡り、文部科学省は二十日、萩生田光一官房副長官が昨年十月、文科省幹部に対し、加計学園の名前を挙げ、首相の意向として二〇一八年四月の開学を求めたと受け取れる新たな記録文書を公表した。内容が事実なら、首相側近が首相の意向として「加計ありき」で獣医学部新設を求めたことになる。萩生田氏は同省幹部との面会を認めつつ、内容は否定した。(我那覇圭)
文書は「10/21萩生田副長官ご発言概要」とのタイトルで、文科省の常盤豊高等教育局長と面談した萩生田氏の発言をまとめたとされ、専門教育課の共有フォルダーで見つかった。
文書によると、萩生田氏は「総理は『平成三十年四月開学』とおしりを切っていた。工期は二十四カ月でやる」と発言。「官邸は絶対やると言っている」と強調した。
愛媛県今治市獣医学部設置を目指す加計学園を前提とする「四国」や「愛媛」の地名も書かれ、「加計学園事務局長を(文科省の担当)課長のところにいかせる」として、加計学園の名前を挙げた。計画を推進する和泉洋人首相補佐官からも、文科省に働きかけるように依頼されたともしている。
これらの発言があったとされる直後の昨年十一月九日、首相が議長を務める国家戦略特区諮問会議が開かれ、特区での獣医学部新設の方針を決めた。
萩生田氏は二十日、コメントを出し「加計学園の便宜を図るために具体的な調整を行うとか、指示を出すことはあり得ない」と否定。二十日夜には東京都内での都議選応援演説で「行政をゆがめるような仕事はしていないときちんと証明していきたい」と訴えた。
新たな文書は、松野博一文科相が二十日午前の記者会見で発表。萩生田氏が内容を否定するコメントを出した後、松野氏はあらためて記者団に、萩生田氏の発言と文書作成者が把握していた周辺情報などが混ざった内容だと説明。「タイトルからすると正確性を著しく欠いていた」として萩生田氏に謝罪したと語った。

◆「丁寧な説明努力」 首相、言行不一致
安倍晋三首相は二十日の自民党役員会で、加計学園獣医学部新設計画に官邸側が関与したとされる文書の存在を巡り、政府の対応が二転三転したことについて「国民に政府への不信を招いた。何か指摘があれば、一つ一つ丁寧に説明する努力を積み重ねたい」と、十九日の記者会見に続いて説明した。だが二十日、野党が新文書を受けて国会での閉会中審査を求めると、自民党は拒否。早くも「言行不一致」が表面化した。
首相は役員会で「国民の厳しい叱声(しっせい)を重く受け止め、気を引き締めて政権運営に当たりたい」と決意を示した。二階俊博幹事長も記者会見で「この姿勢を党を挙げて心掛けていかなければいけない」と強調した。
加計学園を巡る問題で、首相は十九日、通常国会閉会を受けた記者会見で「国会の閉会、開会にかかわらず丁寧に説明していきたい」と表明。その翌日の二十日、萩生田光一官房副長官文部科学省に計画を早期に進めるよう迫ったとされる文書が新たに見つかった。首相が言う「何か指摘があれば」という新たな説明が必要な事態が生じた。
だが、首相が説明する機会について、菅義偉(すがよしひで)官房長官は記者会見で「考えていない」と否定。民進党山井和則国対委員長は「首相は口先だけ」と批判した。
民進など野党四党は二十日の国対委員長会談で、首相が出席する予算委員会での閉会中審査を求めたが、自民党竹下亘国対委員長は拒否。民進党憲法の規定に基づき、臨時国会召集を求める方針を決めた。  (古田哲也)