加計問題 官邸圧力にじむ新文書 「文科省だけが怖じ気づいている」 - 東京新聞(2017年6月21日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201706/CK2017062102000226.html
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学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡り、萩生田光一官房副長官の発言などをまとめたとされる新たな文書は、これまでに文部科学省が存在を認めた文書以上に官邸の介入を強くにじませるものだった。しかし、官邸や文科省は、書かれた内容について、ちぐはぐな説明に終始。「文書は正確性に欠ける」とするが、加計学園の対応が文書の内容に沿っている点もあり、疑念は深まるばかりだ。(中沢誠、小林由比)
「和泉(洋人)補佐官からは、文科省だけが怖(お)じ気づいていると言われた。官邸は絶対やると言っている」「総理は『平成三十年四月開学』とおしりを切っていた」。「10/21萩生田副長官ご発言概要」との題が付いた文書には、早期開学を求める、文科省への厳しい文言が並んでいた。
二十日、松野博一文科相は、この文書について、萩生田氏が昨年十月二十一日に、文科省高等教育局の常盤豊局長と面会した際のやりとりを担当者が後から聞き取るなどして作成したものであると説明した。これまでの「総理の意向」などと書かれた文書とは異なり、萩生田氏が面会して、指示している状況を読み取ることができる。官邸が直接関与していたことをうかがわせる内容だ。
ところが文科省側の説明は、文書の内容については要領を得ない。
説明にあたった義本博司総括審議官は、萩生田氏と常盤氏が面会した場所すら「官邸なのか議員会館なのかもはっきりしない」という。
さらに「全体的に記憶があいまい」などと言う一方で、萩生田氏が否定していることは強調。「間接的な情報もおりまぜていて、『萩生田副長官ご発言概要』というタイトルの文書として正確性を欠いている」とした。
この文書は共有フォルダーで保管され、職員間で共有されていた。当時は、国家戦略特区の諮問会議で、獣医学部新設の方針が決まる直前だった。
記者から「極めて重要なタイミングのときに、いいかげんな情報を共有する役所なのか」と問われると、「個人の備忘録として作ったもの。文書管理上の課題があるが…」と苦しい弁明に追われた。
萩生田氏と常盤氏が面会したのは、獣医学部を新設する事業者公募の二カ月以上も前だ。
その面会時の発言記録とされる文書には、「加計学園」も登場する。
萩生田氏は否定しているが、新設する獣医学部の具体的構想を挙げた発言も「加計ありき」を疑わせる。
「国際機関が四国に設置することを評価している、と聞いたので、その評価していることを示すものを出してもらおうと思っている」。文書にあるその発言に沿うように、今年一月に加計学園が応募した提案内容には「感染症防止には地域封じ込め対策が有効であると国際獣疫事務局も提案している」との一文が盛り込まれている。
文書に記載のある愛媛大学との連携についても、実際に今年三月、加計学園は協定を結んでいる。