「加計文書」存在 知る者たちに語らせよ - 東京新聞(2017年6月17日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017061702000140.html
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加計学園獣医学部新設を巡る「総理のご意向」などと記された文書が、文部科学省にあった事実は重い。首相官邸によるえこひいきはあったのか、なかったのか。そもそも調べる気がないのか。
獣医学部の早期開設を、内閣府文科省に働きかけたことを示す一連の文書だ。文科省は五月の調査で「確認できなかった」としていたのに、職員のパソコンを再調査したらあっさり見つかった。
怪文書」扱いし、文書の存在を証言した前川喜平前次官を攻撃した菅義偉官房長官は謝罪すべきだ。きちんと確かめもせず、不都合な事実を隠そうとしたとしか思われない。
一方、内閣府の調査では、文科省の文書に記載されているような「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」と伝えた職員はいなかったという。あたかも文科省の職員が勝手に解釈したものとして、責任を転嫁した形だ。
役所の職員同士のやりとりの記録やその真偽は、調べる気があればすぐに分かるはずだ。国会会期末ぎりぎりまで、政府はなぜ調べようとしなかったのか。
ふたを開ければ、すべては文科省の自作自演だったかのように見える。この間、義家弘介文科副大臣は、内部告発者は国家公務員法違反に問われる可能性があるとさえ公言している。職員の良心を抑えつける威嚇というほかない。
問題の本質は、国家戦略特区での規制改革の是非ではない。愛媛県今治市での獣医学部新設は、加計学園ありきで行政手続きが進められたのではなかったか。そういう疑いが持たれていることだ。
文科省の再調査では、獣医学部新設の要件について、加計学園しか事実上応募できないように、萩生田光一官房副長官内閣府の藤原豊審議官に対し、変更を指示したことをうかがわせるメールが明らかになった。
事実ならば、萩生田氏を通じ、安倍晋三首相の意向が働いた構図も浮かぶ。山本幸三地方創生担当相は自らの指示だったとして記載内容を否定する。だが、不自然なのは内閣府の調査結果だ。
メール作成者は文科省から出向中の職員で、伝聞の曖昧な内容を事実関係を確認しないまま発信したという。極めて重要な情報をそんなにいいかげんに扱うのか。
これでは文科省内閣府の水掛け論だ。前川氏ら意思形成過程に関わった人物の国会での証言が欠かせない。知る者たちに語らせないままでの幕引きは許されない。