共謀罪 参院法務委審議 参考人の賛否割れ - 毎日新聞(2017年6月1日)


https://mainichi.jp/articles/20170602/k00/00m/010/163000c
http://archive.is/2017.06.02-005419/https://mainichi.jp/articles/20170602/k00/00m/010/163000c

共謀罪」の成立要件を改めたテロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案について、参院法務委員会は1日、弁護士と大学教授らを参考人として招き、意見聴取と質疑を行った。賛成派は、テロを含む組織犯罪を未然防止する観点から国際組織犯罪防止条約締結の必要性を強調。反対派は「市民生活の安全と自由が侵される」などと主張し、評価は真っ二つに割れた。
賛成の立場からは、民事介入暴力に詳しい西村幸三弁護士(自民、公明推薦)が意見を表明。適用対象を「組織的犯罪集団」と規定し、処罰に「実行準備行為」を必要としていることから、「世界の法制でも類を見ないぐらい構成要件が謙抑的だ」と評価した。また、条約締結で各国との情報共有が進むと期待されるとして、「外国からの情報を受けられなければ、日本での外国人犯罪、特にテロの予防や摘発には致命的になる」と指摘した。
青山学院大の新倉修名誉教授(民進推薦)と立命館大法務研究科の松宮孝明教授(共産推薦)は反対の立場から意見を述べた。新倉教授は「オリンピック、テロ対策などの掛け声だけで、刑法の原則をひっくり返すような法律を作るのは不可解だ」と批判。松宮教授は「条約の批准に共謀罪は不必要。一般市民も含めて広く市民の内心が捜査と処罰の対象となり、市民生活の自由と安全が危機にさらされる。戦後最悪の治安立法となる」などと強い懸念を示した。【鈴木一生】