(筆洗)衆院解散の時期と公定歩合 - 東京新聞(2017年4月20日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2017042002000137.html
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衆院解散の時期と公定歩合に限ってはウソをついてもかまわぬとは、永田町の有名な言い伝えである。
ウソはなにも二つとは限るまいという声も聞こえてきそうだが、とりわけ衆院解散の時期については、これを理由にウソも許されることになってしまっている。野党に解散の時期を感づかれては時の利を失うという戦略上の判断だろう。
政権与党では後生大事にされる言い伝えだが、その由来となると、とんと分からぬ。吉田茂元首相説もあるそうだが、はっきりしない。
読み人知らずの言い伝えをウソの言い訳に使い続ける永田町も永田町だが、ひょっとして、この国から伝わったのか。そう考えたくなるほど、切れ味鋭い不意打ちである。英国のテリーザ・メイ首相が突然、総選挙の意向を表明。早期の下院解散を否定し続けてきた「氷の女王」の豹変(ひょうへん)である。
最大野党労働党の支持率の低さを見ての決断か。EU離脱に向け、総選挙で勝利し、基盤を固めようというのだろう。されど、再び、EU離脱の是非が問われる総選挙で勢いを失えば、大混乱が待っている。大ばくちでもある。
投票は六月の見通し。「JUNE(六月)が来ればMAY(五月)は終わり」。メイ首相の名前に引っかけたちょいとおつなシャレを英国メディアに見つけた。日本では六月を「風待ち月」ともいうが、世界注視の中、風はどっちに吹くか。