中学の部活動 先生も生徒も休もう - 朝日新聞(2017年1月17日)

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学校の先生の労働時間の長さが、大きな社会問題になっている。原因のひとつと指摘されているのが、部活動を指導する負担の重さだ。
スポーツ庁が昨年行った全国調査によると、中学校の運動系部活動で、「学校の決まり」として練習を休む日を設けていないケースが全体の22・4%を占めた。「設けている」と答えた学校でも、4分の1は休養日から土日を除外していた。
休日返上で生徒に向きあう先生の姿が浮かびあがる。生徒と教員の心身に余裕をもたせるために、背負う荷を減らすことに本腰を入れるべきだ。
文部科学省は今年初め、都道府県の教育長らに対し、各校に休みの日を設定させるよう通知を出した。学校任せにしていては限界がある。ここは足並みをそろえたとり組みが必要だ。
この問題は最近になって持ちあがったわけではない。1997年に当時の文部省におかれた有識者会議は、中学の運動部では週2日以上の休みを確保するよう、提言している。
にもかかわらず、20年にわたって改善されない背景として、土日や休日に開かれる大会や試合が増えていることがあげられる。進学時の選考資料につかわれる内申書や調査書に、部活動での成績や姿勢が記入されるのも、教員や生徒、保護者が力を抜けない一因だろう。
部活動を重視すること自体は否定されるべきではない。勉強とは違う場面で輝く生徒もいれば、成長が異なる別の学年の子どもたちとの交流は、社会性や指導力を育む場にもなる。
だが、物事にはおのずと限度がある。
学校の勤務条件があまりに劣悪だと、優秀な人材は教員をめざさなくなる。多感な時期の生徒に、勉強や部活動の外にも広い世界があることを示し、知識や関心を深めるのを後押しするのも、教育の大切な役割だ。その意味では、文化系の部活動にも同じことがいえる。
季節によって若干のばらつきが出るのはやむを得ないが、週2日の休みは合理的だろう。中学校体育連盟とも連携をとり、大会の日程や運営のあり方から検討してみてはどうか。
外部の指導者を活用する道もある。導入している学校は多いが、責任や役割、待遇などがあいまいで、現場には不安や疑問がある。整備を急ぐべきだ。
何より、教員、生徒、保護者がそれぞれの思いをぶつけ合う場を設け、問題意識を共有することが大切だ。校長はじめ管理職はしっかり支えてほしい。