預貯金も遺産分割対象 最高裁判例変更 相続人の合意不要 - 東京新聞(2016年12月20日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016122002000127.html
http://megalodon.jp/2016-1221-0921-51/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016122002000127.html


亡くなった人の預貯金を遺産分割の対象にできるかどうかが争われた家事審判の決定で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は十九日、「預貯金は遺産分割の対象となる」との初判断を示し、従来の判例を変更した。預貯金を対象とせずに遺産分割をした二審決定を破棄し、審理を大阪高裁に差し戻した。十五人の裁判官全員一致の意見。


民法の相続分野の見直しを検討している法制審議会は二〇一三年に最高裁婚外子の遺産相続を巡る民法の規定を違憲とする判断を示したことを機に、民法の見直しに着手。遺産相続に関しては最高裁の決定を控え、検討を一時中断していたが、今回の決定が議論に影響するとみられる。
大法廷は「遺産分割では、(分割の)対象を幅広くすることが望ましく、預貯金は分割の際に(配分)調整しやすい現金との差がない」などとし、遺産分割の対象になると結論付けた。
過去の最高裁判決により、預貯金のように分けられる債権は全相続人の合意がなければ、法定相続分に応じて分割されてきた。今後は合意がなくても、遺産分割の対象となる。


今回の審判は、故人のめい同士による争いで、法定相続分は二分の一ずつ。遺産の大半は約四千万円の預貯金で、従来の判例では、二千万円ずつ分け合うことになるが、一人は約五千五百万円の生前贈与を受けていたため、別の一人が預貯金の全額を相続できると主張していた。