相続見直し 改正民法成立 居住権など配偶者保護 高齢者の生活安定図る - 東京新聞(2018年7月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201807/CK2018070702000150.html
http://web.archive.org/web/20180707132420/http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201807/CK2018070702000150.html


相続分野の規定を見直す改正民法などが六日、参院本会議で可決、成立した。居住権の新設が柱で、高齢化社会を見据え、配偶者を亡くした人の生活の安定を図る狙いがある。相続分野の見直しは一九八〇年以来。生前に身の回りを整理する「終活」が徐々に浸透する中、トラブルが多いとされる遺言書の扱いなどにも新たな規定を設けた。
居住権は、配偶者が一定期間または終身、自宅に住むことができる権利で、所有権とは別に自宅建物に登記できるようにする。所有権を受け継いだ子どもが自宅を売却しても、住み続けられる。
婚姻期間が二十年以上の夫婦の場合、配偶者が生前贈与や遺言で与えられた自宅は、遺産分割で取り分を計算する際の対象から除外する選択肢も示した。
配偶者と子どもが相続人の場合、民法は遺産の取り分を原則各二分の一と規定。評価額が所有権より安い居住権の新設や、自宅を遺産分割計算から除外することで、その分、配偶者に預貯金などの遺産が多く配分され、住居と生活資金の双方を確保しやすくする。
こうした相続の対象は法律婚の夫婦に限定される。衆参両院の法務委員会は、事実婚同性カップルへの対応を検討していくことを求める付帯決議を採択している。
また、本人が書く自筆証書遺言は、全文、日付、氏名を本人が書くよう定められているが、財産の一覧を示す目録に限り、パソコンなどで作成したものを添付できるようにした。
自筆証書遺言は弁護士などに預けるか、自分で保管する必要があったが、法務局で保管可能とし、紛失や改ざんを防ぐ。この場合、内容を確認する際に家庭裁判所で相続人が立ち会う手続きが不要になる。
介護を巡る不公平感への対策も打ち出した。夫を亡くした妻が長年、義父母の介護を続けたといったケースを想定。妻は義父母の遺産を相続することはできないが、夫のきょうだいなど相続人に対し、一定の金銭を請求できるようにした。