安保関連法成立1年 川崎・横浜の母親グループ「諦めずに意思表示」:神奈川 - 東京新聞(2016年9月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201609/CK2016091902000125.html
http://megalodon.jp/2016-0919-1103-56/www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201609/CK2016091902000125.html

他国を武力で守る集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法が昨年、成立してから19日で1年。日本が再び「戦争ができる国」に突き進んでいるとの懸念もあり、市民の間には今なお同法に反対する声は強い。川崎や横浜市に住む母親たちでつくる「おでぶな会」も、そのように心配するグループの一つだ。彼女たちは今、何を思うのか。40〜50代の会員が集まった場で、胸の内を聞いた。 (山本哲正)

−会の名前がユニークですね。
林佐登子(さとこ)さん(未就学女児、男児の母親) 「おでぶな」は小田急線、田園都市線ブルーライン横浜市営地下鉄)、南武線の頭文字。沿線に暮らす人がメンバーなので、こう付けました。

−発足までの経緯や転機などを教えてください。
林 二〇一一年に東京電力福島第一原発事故が起き、世の中、何かおかしくなっていると思いましたが、影響を受けたのは昨年見たドキュメンタリー映画「小さき声のカノン−選択する人々」(鎌仲ひとみ監督)です。チェルノブイリ原発事故後、母親たちが被ばくから子どもを守る姿が描かれていました。もう少し社会について学ぼうと、憲法カフェに参加したところ「危ない状況を迎えている」と知ったのです。
安保法に反対するママの会@神奈川に入ると、ご近所の方もいて、その方の自宅で安倍政権の話などをしていました。近所の友達と政治について気軽に話し合えるのが新鮮で、この輪を広げようと昨年十一月、会をつくりました。
鈴木法子さん(中学生女子の母親) 私は一三年の特定秘密保護法成立かな。国の意見募集に法案反対の意見を出しましたが、多くの反対が寄せられても一カ月の審議で成立してしまい、驚きました。安保法案では若者グループ「SEALDs(シールズ)」の呼び掛けで、昨年六月に初めて街宣に参加しました。
杉山敦子さん(大学生男子の母親) 安倍政権寄りの報道に「ちょっと変じゃない」と家で話していたら、息子に「自民党改憲草案を読んだことあるの?」と聞かれました。
ネットで草案を見てショックを受け、勉強会に参加したり、ママの会に入りました。男の子ですから、戦争ができる国になってしまうのは心配です。

−女の子の場合はどうでしょう。
鈴木 娘の選んだ男性が戦場に行くなんて考えたくないですよ。
南真理さん(二十代の娘二人の母親) 参院選の開票速報の特別番組は、今後の課題となる改憲への動きに焦点を当てていました。しかし選挙期間中はほとんど取り上げず、疑問を感じました。テレビなどの影響も大きいと思います。

−会はどんな活動を。
林 安保法廃止を求める街宣に参加したり、米軍基地に苦しむ沖縄の人々を描いた映画の上映会や、教科書についての勉強会を開いています。

−安保法が成立して一年がたちます。
林 法案成立の前も後も街宣しましたが、この法の危険性に気付いてもらえなかったように思います。廃止したいから成立後も、同窓会で話題にしたりしました。でも中国脅威論を言われてしまう。それを言うなら憲法も変えちゃおうという日本はどれだけ脅威か。

−会員数や今後についてお聞かせください。

鈴木 会は約十人が中心になって動いていますが、会員とみなしている承認制フェイスブックの参加者は約四十人になりました。
杉山 仲間を増やしたい。食や医療の安全に関心のあるママたちに、暮らしと政治がつながっていることを知ってもらう勉強会を企画しています。
南 活動のついでに食事会や飲み会があります。月一回ぐらいかな。お楽しみがあるから続けやすい。
一緒につながり、考え合いましょう。とりあえず諦めない。意思表示しないと好きにやられちゃいます。

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問い合わせは、おでぶな会=メールodebuna9-kai@yahoo.co.jp=へ。