「共謀罪」見送り強まる 臨時国会 二階氏、公明に配慮 - 東京新聞(2016年9月11日)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201609/CK2016091102000119.html
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自民党二階俊博幹事長は十日、政府が二十六日に召集される臨時国会への提出を検討する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案について「慎重によく意見を聞いて、誤りなきようにしたい」と慎重に対応する考えを示した。法案提出には公明党幹部が難色を示しており、臨時国会への提出見送りが強まった。 (ハノイで、大野暢子)
訪問先のベトナムハノイ市内で同行記者団の質問に答えた。
二階氏は二〇二〇年の東京五輪パラリンピックに触れ「あらゆる面で万全を期していくなら、法律の必要性もクローズアップされる」として、テロ対策を強化するには法案が必要だと指摘した。ただ「直ちにやって、今国会で決めなければならないかというと、まだまだ時間がある」と提出を急ぐ必要はないとした。
共謀罪は、犯罪を実行していなくても、複数の人が犯罪を行うことを話し合って合意(共謀)しただけで処罰可能となる罪。政府は共謀罪の名称を「テロ等組織犯罪準備罪」に変え、対象となる集団を絞り込むなど適用範囲を厳しくした上で、臨時国会への提出を検討している。
捜査当局の拡大解釈による人権侵害が指摘されており、公明党は政府・自民党に慎重な対応を求めている。二階氏の発言は公明党に配慮したとみられる。
公明党山口那津男代表は九日「どのような具体案になるのか慎重に検討した上で、合意形成に努めたい」と発言していた。
提出見送りが強まったのは、臨時国会で政府・与党が成立を目指す法案が多いのに、会期が約二カ月しかないという事情もある。政府・与党は経済対策を盛り込んだ一六年度第二次補正予算案や環太平洋連携協定(TPP)の承認案件などの成立を目指す。組織犯罪処罰法改正案を提出すれば野党が反発し、国会審議全体に影響する可能性は否定できない。
公明党大口善徳国対委員長は七日の自民党幹部との会合で、臨時国会では審議する法案が多いことを挙げ「(組織犯罪処罰法改正案が)提出されたとしても、成立する見込みはない。提出するだけで良いのか」と提出に難色を示した。