元毎日新聞記者の私が、元毎日新聞記者の鳥越さんに聞きたいこと(黒岩揺光さん) - HuffPostJapan(2016年8月15日)

http://www.huffingtonpost.jp/yoko-kuroiwa/letter-to-torigoe_b_11514664.html

私は「ペンの力」は二つの能力が必要だと思っています。一つ目は、権力に食い込んで情報を取ってくる力。二つ目は、不特定多数の読者に共感を持って読んでもらえる文章力。一つ目は「○○ということが分かった」という特ダネ記事執筆に活用され、二つ目は、毎日新聞の看板コラム「記者の目」や朝日新聞の「記者有論」などの自由コラム欄に活用されます。
一つ目は、警察や検察、省庁の幹部、政治家、弁護士など「情報」を持つ特定の人間関係構築が大事で、二つ目は、様々なジャンルの人間関係だけでなく、読書、旅行、芸術、家事や料理など感性を豊かにする時間も大事になります。
ここで大事なのは、一つ目は、記者同様、高学歴の方たちとの付き合いが多く、下手すれば「特権階級意識」を増長させることになりかねず、これにより、二つ目の様々な人間関係を作るうえで必要不可欠な「謙虚さ」が損なわれかねないということです。
私が見た毎日新聞社はあまりにも一つ目の能力に重点を置きすぎているように思えました。入社試験では3回の面接があったのですが、私の野球経験、就職活動状況、私の家族がどんな仕事をしているとかについての質問が多く、「記者になってどんな記事を書きたいのか?」ということは一切聞かれませんでした。
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私は新聞記者を辞めてからも、ペンの力を信じ続け、7年間、個人ブログを書き続けました。そして2ヶ月前からハフィントンポストのブロガーとして記事を書かせてもらっています。
ここでは、学歴や年齢に関係なく、色々なジャンルの人が文字数制限なしで書くことができ、「海外の体験は封印しろ」なんて言う人はいません。記事によっては数万人の読者に届くこともあり、SNSを通して、毎日新聞時代の数十倍の数のコメントを頂いております。
鳥越さんが「裏の社会」と評した「ネット」により、学歴や年齢などを理由に「ペンの力」を享受できなかった多くの人の「ペンの力」が開花しているのです。
鳥越さん。改めてお聞かせください。なぜ、「ペンの力」はダメになったのですか? いや、どうやって、鳥越さんたち特権階級にいた人たちが「ダメにさせて」しまったのですか? ペンの力をまだ信じている私たちジャーナリストのためにも、是非、お答えいただけませんか?

関連サイト)
「ペンの力って今、ダメじゃん。だから選挙で訴えた」鳥越俊太郎氏、惨敗の都知事選を振り返る(独占インタビュー) - HuffPostJapan(2016年8月11日)
http://www.huffingtonpost.jp/2016/08/10/shuntaro-torigoe_n_11422752.html
「戦後社会は落ちるところまで落ちた」鳥越俊太郎氏、惨敗の都知事選を振り返る(独占インタビュー) - HuffPostJapan(2016年8月12日)
http://www.huffingtonpost.jp/2016/08/10/shuntaro-torigoe-2_n_11424086.html から