(政界地獄耳) 陛下のお言葉…内閣は大きな取り組みを - 日刊スポーツ(2016年8月10日)

http://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1692374.html
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★8日の天皇陛下の国民へのメッセージは政界にも強い衝撃を与えた。当初、政府関係者たちは法律論としての「生前退位は難しい」という慎重論ばかり言い「国務を減らせば済む話」「摂政で十分対応できる」「天皇が勝手に生前退位の希望を口にするのは憲法違反だ」と極めて薄っぺらい論調が目立っていた。
★しかしメッセージ後は首相・安倍晋三が「私としては、天皇陛下が国民に向けてご発言されたということを重く受け止めている。天皇陛下のご公務の在り方などについては、天皇陛下のご年齢やご公務の負担の現状に鑑みるとき、天皇陛下のご心労に思いをいたし、どのようなことができるのか、しっかりと考えていかなければいけないと思う」と発言。9日、自民党総務会長・細田博之小泉内閣で設置された首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」の形態を念頭に「政党や国会が積極的に動くと、政治的な動きと直結してしまう。政府側で有識者会議を開くなど、専門家に法律上や憲法上の問題を議論してもらうことが最も筋のいいやり方ではないか」と発言した。
★同日、同党副総裁・高村正彦は「国民の幅広い合意に基づいて象徴天皇制はいかにあるべきか制度設計の作業をしなければならなくなるかもしれない。拙速はもちろんいけないことだが、時間をかければいいわけでもない」との見通しを示した。それぞれ党幹部は慎重に対応するとするものの、「筋がいい」とか「時間をかければいいというものでない」と発言に癖がある。政界関係者が言う。「自民党はあと任期2年となった衆院の解散時期をこの議論で縛られたくないと考えているのではないか。しかし天皇制のあり方の議論の前に議員の身分の保全を言い出せず、半端な言い方なのではないか。議論に保険を掛けようとするのは国民の反発を呼ぶのではないか」。安倍内閣は大きな取り組みを国民とともにすべきだ。(K)※敬称略