ヒロシマ 孫世代が継ぐ 来月3〜8日、みなとみらいでイベント:神奈川 - 東京新聞(2016年7月24日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201607/CK2016072402000115.html
http://megalodon.jp/2016-0725-0942-14/www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201607/CK2016072402000115.html

一九四五年八月六日の広島に原爆が投下された日の記憶を、「孫の世代がつないでいく」との思いを込めた催し「第三世代が考える ヒロシマ『 』継ぐ展」が八月三〜八日、横浜市西区のみなとみらいギャラリーで開かれる。実行委員会代表の久保田涼子さん(33)=東京都武蔵野市=には、被爆者の祖母(90)がいる。「戦争を経験していない自分たちこそ、戦争や平和に向き合っていく必要がある」と話している。 (志村彰太)
久保田さんは広島市出身。祖母は爆心地から二・一キロの自宅で被爆した。割れた窓ガラスの破片が右腕に刺さるなどし、爆心地から離れるように避難しながら、がれきの下敷きになった人らを助けたという。
高校卒業後に上京した久保田さんは、被爆体験を聴くなどの「平和学習」について、「東京では知らない人が多くて驚いた」。ただ、自身は行動を起こすことなく、ウェブサイトの設計や製作の仕事をしていた。
二年前、原爆投下後の広島を描いた「父と暮らせば」の朗読劇を演じる知り合いの女優から、広島弁の指導を頼まれた。「広島と縁のない人が、真剣に伝えようとする姿に心を打たれた」。同時に「平和教育を受けていながら、何もしていなかった自分」に気付き、知人に「私にできることをしたい」と相談した。
三十代を中心とする三十人ほどのアーティスト仲間が協力し、昨年夏に東京都中野区で初めてイベントを開いた。「何を伝え、受け継いでいくか、それぞれが考えてほしい」との思いから、催しの名称には空白のかぎかっこを入れた。
昨年は、被爆者らへのインタビュー内容を記載したパネルや冊子、平和記念資料館から借りた写真などを展示。ほかにも、インターネットで鎮魂の灯籠流しを疑似体験できるウェブサイトを久保田さんが開発し、会場に専用端末を置いた。「仮想灯籠流し」にはメッセージを寄せることができ、多くの来場者が書き込んだという。
「昨年は『戦後七十年だからやるのか』『一回だけじゃ意味がない』と、平和記念資料館の人に指摘された」と久保田さん。「十年は続けたい」と、今年は前回の展示内容に加えて、神奈川県内の被爆者、伝える活動をしている人や研究者ら計十六人のインタビュー結果をパネルにして並べる。広島大の「原爆瓦発送之会」から借りた、焦げ跡がついた瓦や石も展示する。
また、八月五、六の両日、被爆体験の伝承者で、昨年にノーベル平和賞授賞式に招かれて出席した岡田恵美子さん(79)=広島市=と対話する催しや、七日は被爆者への聞き取りを基にした朗読劇「ヒロシマの孫たち」の発表会もある。
今回は、横浜市内の大学生を含めた九十人が協力。関東学院大四年の宮野健人さん(21)は、「二月に一人旅で広島に行った。見たものや聴いてきたことを伝えたい」と話す。
久保田さんは「テーマは重い。でも、広島から離れたところに住む人たちが、原爆被害を学ぶきっかけになれば」と期待する。詳しいプログラムは「継ぐ展」のホームページで閲覧できる。

第三世代が考える ヒロシマ「   」継ぐ展
http://tsuguten.com/