改憲問う国民投票とは? 項目ごと賛否に「○」- 東京新聞(2016年7月24日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201607/CK2016072402000150.html
http://megalodon.jp/2016-0725-0948-26/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201607/CK2016072402000150.html


先の参院選を経て、自民、公明、おおさか維新、日本のこころの「改憲四党」が参院改憲発議に必要な三分の二以上の議席を確保することになり、衆院と合わせて改憲案を国民に問う「国会発議」の環境が整った。発議があった場合、改憲するかどうかを国民投票で決する。国民投票とはどんなものなのか。 (大杉はるか)

Q 国民投票の手順は。
A 通常の選挙と同様に、有権者は投票日、市区町村が指定した投票所に行き、投票用紙をもらう。記載台の近くに掲示された改憲案を確認し、投票用紙に記された「賛成」か「反対」のいずれかを「○」で囲み、投票箱に入れる。

Q 一回の国民投票で扱うのは一つのテーマだけ?
A そういう場合もあるし、複数のテーマについて賛否を問う場合もあるだろう。以前、衆院憲法審査会で自民党議員が「ぎりぎり五問が限界」との見通しを示したが、五問もあると混乱する有権者もいるかもしれないね。
複数の場合、投票用紙は項目ごとに異なる。一方は賛成、一方は反対という人が、まとめて判断しろと言われても困るからね。

Q 一つの条文の変更、あるいは新設ごとに「○」をつけるということか。
A 基本的にはそうなるが、違う条文でも同じテーマなら、一つの項目としてまとめられる。国会に改憲原案を提出する段階で、「関連事項ごとに区分」すると国会法で定められているんだ。
極端な例では、現行の衆参二院制を一院制にする場合、憲法四章「国会」の大部分に当たる二十二の条文変更が必要とされる。一つずつ「○」をつけるのは大変なので、「一院制に賛成か反対か」といった形になるだろう。逆に、戦争放棄を定めた二章と、裁判所の仕組みに関する六章の条文は関連事項とは言えず、別の項目になる。

Q 国会発議までの手順は。
A まず、衆院なら百人以上、参院なら五十人以上の賛同で、改憲原案を国会に提出。提出先の院の憲法審査会で審議され、過半数の賛成で本会議に上程。全議員の三分の二以上が賛成すれば可決となり、もう一方の院に送られる。同様の手続きを経て本会議で可決されれば、初めて国民に発議できる。

Q 発議したら、すぐに国民投票になるの?
A 改憲案はじっくり考える必要があるため、投票日は発議日から六十〜百八十日の間で国会が決めた日となる。有権者はこの間、同じ分量の賛成意見と反対意見が記された公報や、各政党の主張、メディアの情報を参考に判断する。

Q 改憲案の成立条件は。
A 有効投票総数の過半数の賛成が必要。成立したら、天皇が公布する。

Q 先の参院選のように、国民投票も十八、十九歳が投票できるのか。
A 今は二十歳以上だが、二〇一四年六月に成立した改正国民投票法に基づき、一八年六月二十一日以降は十八歳以上に引き下げられる。