憲法議論 国会・各党の実績は 審査会、今年は参院1回 - 東京新聞(2016年7月25日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201607/CK2016072502000118.html
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安倍晋三首相(自民党総裁)は改憲に前向きな勢力が衆参両院で発議に必要な三分の二以上の議席を確保したことで、秋の臨時国会から衆参両院の憲法審査会で議論を進めたい考え。憲法審や各党内の議論の実績や見通しを探った。 (清水俊介)
両院に置かれた憲法審査会は憲法に関する重要事項を審議する機関。国会議員が改憲原案を提出した場合は国民投票で賛否を問う前に内容を審議する。具体的な改憲項目について議論を進めたい首相に対し、公明党憲法審での「熟議」を求めている。野党第一党民進党改憲を前提としない議論なら応じる姿勢を見せる。
だが、今年の実質的な審議回数は衆院がゼロ、参院も一回のみ。昨年六月の衆院憲法審で参考人憲法学者が審議中の安全保障関連法を「違憲」と明言。与野党の対立が激しくなって以降、まともに開催できていない。
自民党衆院憲法審関係者は「急がば回れだ。野党が参加する方が早く進む」と、野党側に配慮を見せながら再開を模索する考えを示している。
主な政党の党内議論の状況と見通しはどうか。
自民党は野党時代の二〇一二年に憲法改正推進本部で改憲草案を策定。その後も有識者などを招いた勉強会を続けてきた。本部長の森英介元法相は「草案はあくまでたたき台」と指摘。今後は草案の修正も視野に入れながら、党内議論を進めていく構えだ。
公明党は時代に合わせて条項を加える「加憲」を掲げ、〇四年に「論点整理」をまとめた。具体的な改憲項目の絞り込みは行っておらず、党憲法調査会も昨年五月を最後に開かれていない。山口那津男代表は党内の意見調整には「相当時間がかかる」と話している。
民進党は結党直後の今年四月に憲法調査会を開き、旧民主党が〇五年にまとめた「憲法提言」と、維新の党の「憲法改正による統治機構改革」を歴史的文書として引き継ぐことを確認した。調査会長の江田五月参院議長が引退するため、九月の党代表選後に後任が決まらないと、本格的な議論が始められない状況だ。