教科書問題で公取が9社に警告 教科書協会に規定要請 - 教育新聞(2016年7月6日)

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教科書業界が揺れている。複数の教科書発行会社による教員への謝礼問題で公取は7月6日、独禁法(不公正な取引方法)に当たる恐れがあるとして、義務教育教科書発行9社に警告を出した。一方、問題集を無償提供した大修館書店の問題を受け、高校の教科書発行社にも今後、不正行為が発覚した場合に、教科書発行を認めない方針を文科省が決めた。8日には教科書協会に対して方針を伝える。
公取は9社の警告に加えて、教科書協会に対して、自主ルールである「教科書宣伝行動基準」を制定し、採択を勧誘するために金銭の提供をしてはならないとする規定を設けるよう求めた。さらに、公取と協会が協議し、「教科書発行者行動規範」を策定するよう要請した。
この9社のうち大日本図書と教育芸術社がそれぞれ100人以上の教員らに歳暮を贈っていた事実が、新たに発覚した。文科省が1月に求めていた自主点検では、この事実については報告されていなかった。同省は8日にも、両社の社長を呼んで事情を聞くとしている。
また問題集を無償提供した大修館書店の問題を重くみた同省は、こうした不適切な事案が今後起きた場合には、教科書発行を認めない方針を示した。発行者の事業能力や信用状態に問題がある場合に、他の発行会社に切り替えられる規定がある教科書発行法を適用する。
具体的な事例としては、▽刑法(贈賄罪)や独禁法違反▽業界団体の自主ルールに違反し行政官庁の警告や指導に従わない▽意図的な隠蔽――などが発覚した場合は、発行を認めない。
小・中学校教科書の場合では、無料配布が適用されるので、贈賄などの不正行為があった場合には、教科書無償措置法で同省が発行社の指定を取り消せる。