軍用研究で来春新見解 学術会議の検討委初会合 - 東京新聞(2016年6月25日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201606/CK2016062502000135.html
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日本学術会議は二十四日、軍事目的の科学研究を否定した一九五〇年、六七年の声明見直しの可否について検討する「安全保障と学術に関する検討委員会」の第一回会合を開き、来春に予定する総会をめどに新たな見解をまとめる方針を決めた。
委員会は、防衛省が昨年度、軍事技術への応用が可能な基礎的な研究に資金を出す「安全保障技術研究推進制度」を始めたのをきっかけに設置された。
委員長に就任した杉田敦法政大法学部教授は「防衛省の新制度に一線を引くような声明を出すべきか否か、議論を詰めた上で、日本学術会議として、何らかの見解なり声明を文書で出す方向で進めていきたい」と話した。
今後は、委員十五人が月一回ペースで会合を続け、民生向けの研究と軍事研究の線引きが難しくなっている問題や、大学での研究のあり方などを議論する。
委員会を提案した大西隆日本学術会議会長はこの日の会合で「『戦争を目的とする研究は行わない』とする五〇年の声明は、自衛隊が存在しない時期だった。憲法の解釈、安全保障の仕組みは変わってきた。行動規範や見解が、拡充される必要があるのではないか」と、声明の見直しを含む議論を求めた。
山極寿一(じゅいち)京大学長が「政府の予算の公募は学長の責任で出す。この議論がどういう形でまとまるかを踏まえ、大学としての方針を出したい」と語った。