同日選見送りの公算…首相、消費増税延期へ - 読売新聞(2016年5月25日)

http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/2016/news1/20160525-OYT1T50010.html?from=tw
http://megalodon.jp/2016-0525-1115-31/news.biglobe.ne.jp/domestic/0525/ym_160525_5813751132.html

安倍首相が、夏の参院選と次期衆院選を同じ日に行う「衆参同日選」を見送る公算が大きくなった。
現時点では衆院解散を考えていない意向を与党幹部に伝えた。参院選情勢や熊本地震の復興状況などを踏まえたとみられる。また、来年4月の消費税率10%への引き上げについては先送りする方向で、6月1日の今国会閉会後にも表明する。
首相は24日昼、公明党の山口代表と首相官邸で約50分間会談し、こうした意向を伝えた。近く自民党の谷垣幹事長とも会談する。山口氏によると、首相は同日選について「今は解散の『か』の字も考えていない」と述べたという。別の自民党幹部は24日、「衆院解散はない」と明言した。
首相は、同日選による相乗効果で参院議席上積みが可能かどうかを検討してきた。共闘を進める民進、共産両党との政権選択選挙に持ち込む思惑もあった。
しかし、オバマ米大統領の広島訪問決定などで内閣支持率が上昇し、参院選単独でも与党が有利に戦えると判断したようだ。熊本地震で今も多くの被災者が避難生活を強いられていることにも、与党内から「復興より政局優先と批判される」と慎重論が高まっていた。公明党も同日選に否定的な姿勢を崩していない。
このため、首相は同日選に踏み切るのは現時点では難しいと判断したとみられる。ただ、野党は今国会で内閣不信任決議案の提出を検討しており、野党の対応などを見極めた上で最終決定する意向だ。
一方、消費増税の先送りを決めたのは、国内外の経済が不透明感を増す中、増税に踏み切ればデフレ脱却が困難になると判断したためだ。26、27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で世界経済を下支えするための財政出動への協調を取り付けた上で、今国会閉会後の表明を検討している。
先送りする場合、参院選後の臨時国会に関連法案を提出する。自民党の二階総務会長は2019年4月まで2年間先送りする案を首相に提言している。
消費税率は14年4月に5%から8%、15年10月にさらに10%に引き上げる予定だったが、首相は14年11月、衆院を解散するとともに10%への引き上げを1年半先送りする方針を表明していた。首相はこの際、消費増税について「再び延期することはない」と語っていただけに、野党が厳しく追及するのは必至だ。
参院選は「6月22日公示―7月10日投開票」の日程で行われる予定だ。