保育問題「基準緩和で解決しない」 待機児童全国一の世田谷区・保坂区長語る:東京 - 東京新聞(2016年4月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201604/CK2016041902000161.html
http://megalodon.jp/2016-0419-0959-34/www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201604/CK2016041902000161.html

政府の緊急対策は、保育現場を預かる自治体にとって、待機児童問題の解消につながるとは必ずしも受け止められていない。昨年四月の待機児童数が全国一多く、対策に奔走する世田谷区の保坂展人区長は「規制緩和では根本的に解決しない」とし、税制改革などを提案している。 (神野光伸、柏崎智子)

−緊急対策をどう見る。
ゼロ歳児の一人当たりの面積を削り、その分多くの子どもを入れればいいというのは安易な考え方。ゼロ歳を多く入れれば、その分、翌年の一歳児の募集枠が減る。本来は取れるはずの育児休暇を早く切り上げ、ゼロ歳から保育所に申し込む傾向に拍車が掛かる。
保育士配置の基準緩和も、保育士の負担が増し、離職につながる。先日も都内で保育死亡事故が起きた。命を預かる以上、慎重に臨みたい。むしろ基準を向上させる時期だと思う。

−政府へ望む政策は。
認可保育所も多く整備しているが、開設まで時間がかかる。即効性のある受け皿として、自治体独自の認可外保育施設にも国に補助してもらいたい。将来的に認可と同様の条件へ移行させる方向を明確にして新設し、今困っている人への具体的な答えを出したい。
また、地価が高く土地確保が難しいので、保育所に使う国有地の借地料を下げてほしい。保育所に使う民間用地の固定資産税減免や、相続税猶予など、税制改正も求めたい。
働き方改革も必要。遅くまで子どもを預けずに済むよう子育て世代に残業をさせないなど、企業にも当事者意識を持ってほしい。

−待機児童問題に取り組む中で感じることは。
子どもにお金をかけてほしい。大人や企業優先の考えがはびこっている。例えば、ガード下に保育所を造ればいいと言う人がいるが、子どもの成育環境を考えていない。子どもを大事にしない社会では、子どもはどんどん減る。