女性議員の割合 超党派案に注目したい - 毎日新聞(2016年4月19日)

http://mainichi.jp/articles/20160419/ddm/005/070/063000c
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厚い壁を破ろうとする動きだ。国会で女性議員が占める割合を増やすため、衆院選比例代表を改革する法案を超党派議員連盟がまとめた。各党に賛同をよびかけている。
女性議員の比率が伸び悩む状況を変えるためには制度的なアプローチも必要な段階となっている。超党派案は女性に一定の議席を割り当てるようなクオータ制とは異なるが、相当程度の効果が期待できる。
国会で女性議員が占める割合は衆院で9・5%(2014年衆院選)、参院は15・7%にとどまっている。列国議会同盟(IPU)の昨年の調査によると、衆院の9・5%は世界190カ国中154位で、主要7カ国では最下位に沈む。政府が掲げる「20年までに指導的地位に女性の占める比率を3割」という目標に、立法府がほど遠いのが実情だ。
この状態を改めようと、衆参議員61人が参加する超党派の議連(会長・中川正春文部科学相民進)が、衆院選比例代表の重複立候補制度を活用する案をまとめた。
公職選挙法を改正し、比例代表小選挙区の重複立候補者を政党の判断で男女の2グループに分け、交互に比例代表で復活当選させることを可能にする。小選挙区で落選しても惜敗率で復活する際に男女議員の比率が均等化される仕組みだ。
超党派議連には自民党河村建夫官房長官野田聖子前総務会長、民進党山尾志桜里政調会長らが名を連ねる。仮に14年衆院選で政党が男女グループ方式を採用した場合、女性当選者は全体の2割程度に増え得ると議連は試算している。
戦後の1946年に男女普通選挙で初の女性議員が誕生してから今月でちょうど70年がたった。女性候補を擁立する動きは大政党を中心に依然として鈍く、クオータ制についても慎重論が根強い。
超党派案の場合、男女グループ方式を採用するかは政党の選択に委ねられるため中川氏らは「政党の自主性を失わず現状を是正できる」と説明している。政党の選択とはいえ、選挙結果を操作する方式には異論もあろう。だが、制度的な後押しがなければ現状は動きがたい。改革案として検討に値するのではないか。
もちろん、女性議員を増やすためには政党の積極的な候補擁立や人材発掘も欠かせない。議連では公選法改正案とともに、政党が女性候補の数値目標を定めるよう努力を促す理念法制定も求めている。
女性議員の割合を増やすことは経済、社会のあり方を変えるうえで大きな力になる。各党による検討では自民党の対応が鍵を握る。安倍内閣の掲げる「女性が輝く社会」にふさわしい本気を示してほしい。