期日前投票所 都会の大学へ設置に難題 所在地に住む学生少数 - 東京新聞(2016年2月29日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016022902000132.html
http://megalodon.jp/2016-0229-1518-06/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016022902000132.html


夏の参院選から導入される見通しの十八歳選挙権をめぐり、若者が大学構内への期日前投票所の設置を求めている。若い世代の投票率向上に向けて政府も呼び掛けているが、東京のような大都市にある大学では効果は限定的なだけに、簡単に広がる環境ではない。
大学や短大が密集し「全国有数の学園都市」を掲げる東京都八王子市の中央大では、二〇一四年末ごろから学生が期日前投票所設置を求めて動き始めた。「Vote at Chuo!!」というグループを結成し、市選挙管理委員会に働き掛けてきたが実現していない。利用者が一部にとどまると予想されるためだ。
市選管によると市内の大学や短大に通う約十万人の学生のうち市内在住は推計約二万二千人。期日前投票できるのは住民票がある学生だけで、その数は約一万人。残り九割は他の市区町村から通っていたり、住民票を出身地に置いたまま。住民票のある自治体から投票用紙を取り寄せれば、不在者投票できるが手続きは複雑だ。
市選管は、八王子では多くの大学が市中心部から離れた場所にあるため、期日前投票所を設置しても一般市民が利用しづらく「優先度は低い」と説明する。
「Vote」の古野香織代表(二年)も市外の自宅から通う。「大学に置けば学生の目に触れ、選挙を身近に感じてもらえるが、東京ではどこでも苦戦する問題」と話す。
大都市以外では事情が異なる。初めて大学に期日前投票所が設置されたのは一三年参院選松山大学松山市)。同市では各年齢層の投票率が三年前を下回る中、二十代前半だけ2・72ポイント上がって注目を集めた。古野さんらの取り組みも松山市の例を知ったからだ。
一五年春の統一地方選では、北海道から鹿児島県までの九市十二大学に設けられたが、東京の大学には設置されなかった。
高市早苗総務相は今月の衆院予算委員会で「(大学への設置は)若者の投票環境が向上する非常に有意義な取り組み。(全国の)選管に積極的に検討してもらいたい」と強調したが、大都市でも設置が広がる工夫が求められている。 (高山晶一、安藤美由紀)