実際の選挙さながらに生徒会長選 都立足立特別支援学校:東京 - 東京新聞(2016年2月25日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201602/CK2016022502000179.html
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選挙権年齢の十八歳以上への引き下げを受け、知的障害のある生徒二百人余りが通う都立足立特別支援学校(足立区花畑七)は、実際の投票所さながらの手順で生徒会長選挙を行った。 (松尾博史)
体育館には受け付け、仕切りのある記載所、投票箱などが設置された。区選挙管理委員会から、実際に使われている道具を借りた。
生徒会長選には三人が立候補した。「文化祭と体育祭を盛り上げます」などと候補者が演説した後、有権者となった生徒たちは、一人ずつ用紙を受け取り、候補者の名前を記入。投票箱に一票を投じるまでの一連の流れを体験した。戸惑う生徒には、教員が付き添って、やり方を教えた。
これまでの生徒会長選は、候補者全員の名前を書いた紙を用意して選びたい人に丸印をつけていた。通常の選挙と同じ方式にしたのは「有権者としての一歩を踏み出し、投票できるようになってほしい」(高橋忠雄副校長)からだ。重い障害のために字を書くことが難しい生徒のためには、候補者の顔写真を張った箱を用意した。好きな箱に紙をいれることで投票となる。
この日の選挙は混乱なく終わったが、高橋馨校長は「教員の指示がなくて生徒たちはどこまで動けるだろうか。実際の選挙でも写真を見て選ぶことができれば、いいかもしれない」と提案した。
学校には、選管などから十人の区職員が「知的障害者に必要な支援や配慮のあり方を考える機会にしたい」と見学に来ていた。公職選挙法には「代理投票」の規定があって、字を書くことが難しい人は、投票所に詰めている投票従事者に用紙への記入を頼むことができる。区選管によると、記載所に張られた候補者名を指さしてもらうなどして、意思を確認しているという。
鈴木一夫(いちお)事務局長は「(健常者に比べて)投票するのに時間がかかるかもしれないが、せかしてはいけない。いまの投票所の人員配置で対応できるか検討し、必要な工夫をしていきたい」と話した。