難民と市民、ベルリン映画祭が結ぶ 会場近くに屋台村 - 朝日新聞(2016年2月15日)

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ドイツで開催中のベルリン国際映画祭。映画祭が会場近くに開設した屋台村では、シリアの難民が働いている。大量に流入し続ける難民への理解を深める試みの一つで、市民たちとの交流が徐々に始まっている。
内戦が続くシリアの都市アレッポからドイツに逃れてきたムダール・エル・シェイクさん(30)は、映画祭が期間中に設けた屋台村「ベルリナーレ・ストリート・フード」の一つ、地中海料理の屋台で調理を手伝う。訪れた市民から「どこから来たの」などと質問されると、ドイツ語で答えていた。
映画祭は今年、食文化の交流を通じて難民を支援する市民団体と連携して、シェイクさんら数人の難民に働いてもらうことにした。団体のスタッフは「料理を互いに教え合うことで、対等な関係で理解が深まる」と語る。
シェイクさんはシリアでエアロビクスを教えていた。「でも内戦がひどくなり、1年8カ月前にシリアから一人で逃れてきた」。ベルリンの難民キャンプで3カ月過ごした後、後からドイツにやってきた両親とアパートで暮らす。「今は求職中です。屋台で一緒に働く仲間たちにシリアの料理を教えてあげたい」と笑顔をみせる。開幕前日には、映画祭の最高責任者ディーター・コスリックさんも屋台を訪れて激励した。
同映画祭で難民支援を担当するアドリエンヌ・ボロッシュさんは「昨夏から支援策を準備してきた。移民や難民の子供が学ぶクラスを上映に招いたり、職業訓練の一環で若い難民たちに運営を手伝ってもらったりしています。映画祭が難民と市民との懸け橋になることを期待します」と語る。(ベルリン=伊藤恵里奈)