美瑛町社協の安保チラシに自民横やり 処分要求 「混乱招いた」4理事退任 - 北海道新聞(2015年12月13日)

http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/politics/politics/1-0212616.html
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【美瑛】上川管内美瑛町の町社会福祉協議会(村上和男会長)が8月、国会で審議中だった安全保障関連法案について考えることを町民に呼び掛けるチラシを町内に配ったところ、自民党美瑛支部が「社協にふさわしくない政治的活動」として関係者の処分や辞任を要求、理事4人が退任していたことが12日分かった。識者からは「社協には高い公共性と中立性が求められるが、政党による辞任の要求は行き過ぎではないか」との指摘が出ている。 
社協などの関係者によると、チラシは8月末、町内約2700戸に新聞各紙の朝刊に折り込みで配られた。チラシには「皆で考えよう安全保障法案 いま、世界では紛争により尊い命がうばわれています。今の平和と幸せを次世代につなげたい。私たち 美瑛町社会福祉協議会は争いのない 助けあいの社会を目ざします」と記されていた。
チラシの配布は10日前の理事会で、複数の理事から「平和を考える上で、安保法案について社協として何らかのメッセージを発信したい」との提案があり、出席者15人全員が承認した。文書は村上会長と副会長ら理事6人が属する三役会が作成し、この6人が費用約3万円を自己負担した。
これに対し、自民党支部は9月下旬、町社協に「メッセージの内容や、理事が政治的内容の意思決定にかかわることに問題はないか」との質問状を提出した。町社協は「あくまでも平和で幸せな社会の構築を皆で考えようという啓発活動」と文書で回答。その後、「心配と混乱を招いた」と文書で謝罪した。
さらに、自民党支部は10月中旬、「協議会の社会的存続をも危ぶまれる大失態」として、関係者の処分を求める「要望書」を町社協に提出。チラシ作成の中心だった副会長2人と理事1人の氏名を記し、「役員としての資質欠如」「町民を混乱させた」などと辞任を要求した。
社協はその5日後に理事会で協議し、続いて開かれた三役会で、批判を受けた3人を含む理事4人が「混乱の責任を取る」と退任を申し出、了承された。村上会長は厳重注意とした。
元理事の1人は「チラシは法案への賛否に触れず、政治的に偏らないよう配慮したつもり。政党がここまで首を突っ込む必要があったのか」と首をかしげる
村上会長は「辞任は本人の申し出。政治的な圧力があったとは思わない」。自民党美瑛支部の福井努支部長は「両者で話は済んでおり、取材には応じられない」と話している。