安保法案審議 首相、補佐官更迭を拒否 - 東京新聞(2015年7月29日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015072902000110.html
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安倍晋三首相は二十八日の安全保障関連法案に関する参院特別委員会で、礒崎陽輔(いそざきようすけ)首相補佐官が法的安定性を軽視するような発言をした問題に関し、野党の更迭要求を拒んだ。憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使を認めても法的安定性は維持されており、安保法案の合憲性に「完全に自信を持っている」と述べた。野党は安倍政権が憲法を軽視していると追及を強めた。
安保法案はこの日、特別委で実質審議入りした。礒崎氏の発言については民主党福山哲郎氏が「法的安定性を放棄して集団的自衛権をやると政府内の人間が認めている。こんな補佐官は更迭すべきだ」と迫った。
これに対し、首相は「法的安定性を確保することは当然だ。疑念を持たれる発言は厳に慎まないといけない」と問題を認める一方、菅義偉(すがよしひで)官房長官が口頭で注意したとして処分には言及しなかった。福山氏は礒崎氏の特別委出席を求めた。
首相は、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認について、自国を守る個別的自衛権の行使だけが認められるとしてきた従来の政府見解と論理的に整合していると主張。国際情勢の変化で必然的に「自衛の措置」の範囲が広がったとの説明を繰り返した。
福山氏は、日本近海で同盟国が攻撃された場合など、安倍政権が挙げる限定的な集団的自衛権行使の事例も含めて、歴代政権は否定してきた経緯を指摘。その上で「一内閣が憲法解釈を変え、法的安定性を崩している」と批判した。
審議に先立つ理事会では、自民党が礒崎氏から陳謝があったことを野党に報告。礒崎氏は党の聴取に「私の発言で国会、委員会運営に迷惑をかけ、心から反省し、おわびを申し上げたい」と述べたという。