大阪の住民投票結果から見えるもの(渡辺輝人さん 京都弁護士会所属)-Y!ニュース (2015年5月18日)

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国政への影響、改憲国民投票
筆者は、大阪市住民投票は、安倍政権にとっては憲法改正国民投票の予行演習だったのではないか、と思っています。それは直接投票により結論を出す、ということだけではなく、権力を持ち、政治に責任を負っている側が積極的に虚実ない交ぜの「バラ色の未来」を描く政策宣伝、多額の広告資源の投入、金(広告料)と恫喝による報道機関の押さえ込みなどで、国民の意思を「買う」ことができるかどうかの実験だったのです。その目論見が上手くいかなかったことは、安倍政権が掲げる憲法改正国民投票の実施にも少なからず影響を与えるでしょう。そして、改憲課題で安倍首相の閣外協力者だった橋下氏が(同氏の言葉を信用するなら)政界を去ることでもブレーキが掛かるはずです。一方、改憲派住民投票の失敗から教訓を引き出し、新たな作戦を考え始めるのも必定です。筆者もそうである日本国憲法を擁護しようとする側も、住民投票から教訓を引き出し、憲法を守るためにはどのような議論が必要なのか、検討が必要でしょう。
また、今回の住民投票は、公職選挙法の選挙運動規制が撤廃されたときに、どれだけ自由な選挙活動が出来るかも示したように思います。筆者は、ツイッターフェイスブックを経由して、市民が手製で作成したビラやポスターを多数見かけました。もちろん、金に任せたテレビ広告等を規制するために、選挙費用の上限は決めるべきだと思いますが、市民が政治について自発的に考え、意見表明するためには、公職選挙法の選挙運動規制の撤廃が急務であると感じられました。